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ー天使ー12

「お前さぁ、そう、どうして、俺の地雷を簡単に踏むかなぁ? せっかく、俺的には忘れておいた筈なのによ」


 それを聞いた後、望は何も言わずに黙り込み、雄介が働いている消防署の前で車を止めた。


 望が黙ってしまった理由を雄介は察したのか、


「せやな……俺が悪かったんやな。ホンマ、望に相談せんとスマン」


 そう呟くと、雄介はそれ以上何も言わずに車から降りていった。


 雄介が車を降りた後、望は全身から力を抜くように深い溜め息を吐く。そして気を取り直し、自分が働く病院に向けて車を走らせる。


 病院に到着し、いつもの部屋に入ると、今日は珍しく和也が先に来ていた。


 いや、違う。今日は琉斗と雄介を送ってから来たため、望の到着が少し遅れただけだった。


「望……おはよ!」


 和也はいつものノリで挨拶をしてきたが、望は呆れたような溜め息を吐きながら自分の席に座った。


「なんだよー。人が挨拶してるのに、溜め息で返すことはねぇだろー」

「溜め息じゃねぇ……呆れたような溜め息だ」

「……どっちも溜め息は一緒じゃねぇかぁ。ま、それはいいとしてー。今日の望、いつもより元気がねぇんじゃね?」


 本当に和也は変なところに気が付くやつだと、望は思った。


「別に……和也がいつものようにアホなことをするからだろー。だから、呆れただけなんだからよー」

「いやー、違うんだよなー。呆れたような溜め息だったら、そんな疲れたような溜め息も一緒に出ないと思うんだけど……」


 確かに望は和也に呆れたような溜め息を漏らしたが、和也の言う通り、それと一緒に疲れたような溜め息も出ていたのかもしれない。


「……ん? まさかとは思うんだけどさ……雄介と喧嘩したのか?」

「喧嘩はしてねぇよ」

「じゃ、なんだよー」

「それと関係あるかは分からねぇけど……とりあえず、今日、仕事が終わってから、和也に頼みがあるんだよなぁ」

「……へ? どういうことだ?」

「だからだな……」


 望は和也に、琉斗や美里の話をし始めた。


「……で、今日、仕事が終わってから家に来て欲しいんだよな」

「確かになぁ、望は子供が苦手だもんなぁ。いきなり子供の相手しろって言われても慣れてないと大変だしよ」

「まぁな。裕実、連れて来てもいいからさ」

「それくらいなら、任せておけよ」

「ああ、そこは、もう和也に任せたからよ」

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