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ー天使ー13

 望はそこまで話すと、気持ちを切り替えるために白衣へと着替えに向かった。


 昼を過ぎると、望は一旦琉斗がいる幼稚園へ迎えに向かう。


 少ししか会っていないにも関わらず、琉斗は望の姿を見つけると嬉しそうに走り寄り、望の足にまとわりついてきた。


 突然の行動に、子供の扱いに慣れていない望は体をビクつかせるばかりで、どう対応したらよいのか分からず、ただ周囲をキョロキョロと見回すだけだった。本音を言えば、琉斗にどう接すればよいか全く分からなかった。


 とりあえず、望は琉斗の担任に挨拶を済ませると、その足で病院へと戻ることにした。


 これは、昨日雄介に話した通り、病院の敷地内にある託児所に琉斗を預けるためでもあった。


 通常の保育園は夕方六時くらいまでしか開いていないが、さすが病院の敷地内に設けられた託児所だけあって、二十四時間対応している。


 望は病院の駐車場に車を停めると、琉斗を車から降ろし、その手を引いて託児所へ向かう。


 だが、こんな時に限って、望にとって最も面倒な人物と出くわしてしまう。


「望……望にしては珍しいことをしてるねぇ。子供の手を引いてどこに行くんだい?」


 裕二の質問に、望は溜め息を漏らしながら、


「別に……」


 とだけ返し、琉斗の手を引いてその場を立ち去ろうとした。しかし、


「望にしては本当に珍しいよね?  今は昼休みだし、もしその子が君の患者さんなら和也君がいないのはおかしい。それに、もしその子が患者さんだとしたら、君の場合、和也君に任せるはずだろう?」


 裕二の言葉に、これ以上誤魔化すのは無理だと悟ったのか、望は足を止めて裕二の方に顔を向け、


「この子は雄介のお姉さんの息子さんなんだよ!」


 そう言い放つと、望は再び歩き始めた。そして、託児所まであと数メートルというところで、再び裕二に声を掛けられる。


「望……話は分かったんだけど……何で君はその子を連れて託児所の方へ向かっているのか、その意味が分からないんだけど?」

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