「なら、いいや……」
望は横になると、雄介とは反対側を向いてしまう。
「ほんならさぁ、今から受験勉強とかせなアカンと違ゃうの?」
雄介からの問いに、望は雄介の方へと顔を向ける。
「ま、確かに、そうなんだよな」
「後……金とかって、どん位掛かるん?」
「それは大丈夫!! 俺が何とか親父に頼んでみるからさ」
「ちょ、待って! そ、そんなこと望の親父さんに頼める訳ないやんか!?」
「気にすんなよ。お前が頑張って医者か看護師になってくれれば、後で親父に返せるだろ?」
「あ、まぁ……そうねんけどな。 と、とりあえず……そこんところは大丈夫やろ? 今まで仕事で稼いできた金あるし、貯金、むっちゃ貯まってるしな」
そう笑顔で言う雄介だが、望は雄介の顔を真剣に見上げ、
「お前の貯金でどうにかなる問題じゃないと思うぞ。半端なく金が掛かるんだからな」
「ほんなら、俺やって働きながら金稼ぐし」
「俺的には雄介は働かないで勉強に集中してもらいたいんだけどな。確かにお前には体力があるかもしれねぇが、頭の方は大丈夫なのか?」
雄介は望からの鋭い質問に眉間に皺を寄せ、
「望ー、そこは突っ込まないで欲しいわぁ。んー、そこは、まぁ、まぁー、頭はそこそこやと思うねんけど……な?」
そう言いながら雄介の視線というのは、天井の方を向いてしまっていた。
「ほら、やっぱり! 頭の方は自信ないじゃねぇかよー」
「まぁ、そうねんけどっ」
「ならさ、今から、お前の能力調べてやるよ。それに来年の春には学校に行ってもらわないと困るしな」
「調べるのはええねんけどな。来年の春って、直ぐやんか、何で、来年の春やないとダメなん?」
「来年の春じゃないと、お前と歩夢が同じ年に学校に行くことになって、同じ年に卒業になるじゃねぇか、やっぱり、それだけは避けたいからよ」
「何? それって、俺は医者になることに前提なん?」
「……へ? まだ、看護師か医者か決めてなかったのかよー。俺はてっきり雄介は医者になるんだと思ってたぜ。だってさぁ、俺が経営するかもしれない病院は後一枠だけ医者のスペースが空いてんだからさ」
「あー、んー……望はどっちに俺が向いてんやと思う? やっぱ、医者か?」
また優柔不断な雄介の言葉に望は溜め息を漏らすのだ。