「まぁ、そうなんだけどさ」
「……って、望、急にどないしたん? 前まではあんなに俺に医者か看護師になるのアカンって言うとったのに」
「ぁあ! 親父がさ、春坂病院系列の病院を作りたいんだってさ。経営者は俺になるんだろうけど。そこで、親父がさぁ、俺が医者や看護師を二人ずつ選んでいいって言ってたんだ。 和也と裕実は入れるじゃないかぁ、だけど、医者が一人足りないんだよなぁ。ほら、新城は和也が嫌いだから入れられないだろー、だからさ、雄介が前に考えていたから、雄介がいいんなら、考えてもいいんだけど……って思ったんだけど?」
「んー、別に俺はそれでもええねんけど……。望が前にあんなに反対しとったからなぁ。せやから、もう、半分諦めておったんやけど?」
「雄介は本当に医者か看護師になりたいんだよな?」
望は雄介の本意を探る為に望は雄介の瞳を見つめる。
「ああ、望が本気で協力してくれるって言うんやったら、目指してもええねんで……」
「あのな……それが迷ってるって言ってんだよ! 人の意見じゃなくて、自分の意志でハッキリ決めてくれ! じゃねぇと、雄介は新しい病院には雇えない。これは親父からのマジの話だから、ハッキリしてくれねぇと困るんだよ!」
望はベッドの上に真剣な目で雄介のことを見つめる。
「やるんならやる! やらない! ならやらない! そういうとこをハッキリさせてくれって言ってんだよ!」
「望はホント……仕事に関しては本気なんやな。 よっしゃ! 分かった! 本気でやる!」
雄介もベッドの上に座ると、雄介の方も望のことを真剣な目で見る。
「雄介がその気なら、俺はいくらでも協力するからよ」
今まで真剣な目をしていた望だが、笑顔になって雄介のことを見上げる。
そんな望の表情を見た雄介は望の体を抱き締めるのだ。
「これで望と一緒に働けるんやなぁ」
「だけど、正式に医者になれるのは約七年後だぞ……いや、八年以上先だ」
「八年先やと……俺は三十五歳やんな?」
「そうだな。 雄介は、それまで俺のこと好きでいてくれるのか?」
「ああ、もちろんやって!」