フッと望は背後で人の気配に気付いたらしく、
「見るなよ……今、お前の為に問題作ってるんだからさぁ」
「あ、まぁ……それはええねんけど、早よ、寝んと明日に差し支えるで」
「まぁ、そうなんだけどな」
「そんなん、明日の夜にでも回したらええやんか、明日の夜は俺居てないし」
「確かに……そうだな」
望は雄介からのそのセリフを待っていたかのようにパソコンの電源を落とすとベッドへと向かう。
そして仰向けになって天井を見上げるのだ。
そんな望の後から着いてきた雄介は望の後からベッドの上へと上がり望に何もしないまま横になる。
そんな雄介の姿に望は寂しさを覚えたのか、天井を見上げている雄介の横顔を見つめるのだ。
とそんな時、突然、雄介は望の方へと顔を向け、
「な、望!」
そう雄介に声を掛けられ望は最初と同じように天井を見上げてしまう望。
「な、なんだよ……急に……」
望はいきなり声を掛けられ焦ったのであろう。言葉をどもらせてしまっていたのだから。
「望……今日はもう、ゆっくり寝ようか?」
「あ、ああ、そうだな」
今の雄介の言葉にどうやら拍子抜けしている望。
だってそうであろう。自分が思ってはいないことを雄介は口にしたのだから。
今日は二人きりでいるのにも関わらず何も無しに『寝よう』と言っている雄介。
普通なら二人きりで居る時にはキス位はしたいと思うのが普通であろう。
だが雄介はごくごく普通の言葉を口にしたのだから。
望は溜め息を一つ吐く。
そして望は意を決したように雄介の顔を見上げると、
「雄介……今日は琉斗もいないし、二人きりなんだからさ……自由な日じゃねぇのか?」
望では、ここまでが限界であろう。
だが雄介は望が何を言いたいのかがさっぱり分かっていないらしく、頭にハテナマークを描きただただ天井を見上げいるだけだ。
そんな雄介の姿に再び溜め息を漏らす望。
「雄介の鈍感……」
そう意味ありげに望が言うと、
「あんな……望……言葉でちゃんと言うてくれへんと分からんもんは分からんで……」