望は溜め息を吐くと、上目遣いで雄介のことを見上げる。もしかしたらこの望の行動は無意識なのかもしれない。
「キス位はいいだろ?」
その望の言葉に雄介はやっと何が言いたいのかが分かったのか、雄介は望に向かい微笑むと、
「ホンマ、変なとこ鈍感でゴメンな。せやったな、今日は琉斗がいない日やったんやから、セーブせんと望とイチャイチャ出来るんやったな」
雄介はそこまで言うと、きっと雄介の方も望とイチャイチャしたかったのであろう。望の体をギュッと強く抱き締めたのだから。
「ホンマ、琉斗のこと預からなきゃ良かったわぁ」
「でも、俺達が預からなかったら、琉斗はどうなっていたんだ? そう考えると仕方ねぇんじゃねぇのか?」
「まぁ、そうねんけどな。琉斗を預かってから、望との二人だけの時間がいつもより減ってもうたやんか」
「だけど、和也達も協力してくれてるじゃねぇのか? 和也もそういうとこ分かってくれて今日は琉斗のこと預かってくれたんだろ?」
「ま、そういう事やけど……。まぁ、とりあえず和也達に感謝せなアカンな」
「そういうことだ。これから、たまにでいいからさ、琉斗のこと和也達に任せたらいいんじゃね?」
「せやな、そしたら、堂々と望とこうしてイチャイチャしていられるしな」
「そういうことだ」
今日の望はやけに素直なのは気のせいであろうか。
もしかしたら雄介が自分のせいで望と二人で居られる時間が少なくなっていることに落ち込んでいるからなのかもしれない。
流石の望も恋人が落ち込んでいるのであれば、フォローするのであろう。
雄介は望の頭をひと撫ですると、望の唇に唇を合わせる。
だがいつもとは違い長く愛おしそうに何度も唇を合わせる雄介。
望もそのキスに付き合い続けるのだ。
久しぶりのキスに二人だけの世界へと溺れていく。
暫くして雄介は名残惜しそうに望の唇から離れていくのだ。
その後も雄介は望の顔を切なそうに見つめていた。
こんな時こそ時間が止まってくれればいいと誰もが思う事だろう。