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ー天使ー66

「お風呂、ありがとうございます」

「ああ……」


 和也は琉斗が上がって来ると、今度は琉斗の方へと向き、


「今日は裕実兄ちゃんと俺と、どっちと一緒に寝る?」

「裕実兄ちゃん!」

「じゃあ、裕実……琉斗のこと、よろしくな。俺は風呂に入ってくるからよ」

「分かりました!」


 裕実はそう言うと、琉斗と一緒に二階へと上がって行った。


 その間、和也はお風呂へと向かう。


 望は相変わらず問題作りに励んでいた。


 それからしばらくして、和也がお風呂から上がった頃、望はやっと問題が出来たのだろう。一階に響くような声を上げた。出来たことがよっぽど嬉しかったのだろう。


「出来たー!」


 その望の声に和也はビックリしたものの、


「出来たんなら、良かったな。俺が言うのもなんだが、風呂にでも入って来いよ。俺が先に入らせてもらったけどよ」

「後はプリントアウトするだけだから、大丈夫だな」


 望は疲れた体を伸ばし、そのままお風呂場へと向かう。


 しばらくして、望はお風呂場から上がると、


「そういえば、裕実と琉斗は?」

「……へ? さっきの話、聞いてなかったのか? 琉斗は裕実と一緒に寝に行ったぜ」

「ふーん……」


 そう望は最初気にも留めていなかったが、和也と一緒に二階へと上がると、本当に裕実は琉斗と一緒に客間で寝ていたのである。


「ってことは、俺は今日、和也と寝なきゃならねぇのか?」

「そういうことになるよな?」

「まさか、俺がお前と寝る訳にはいかないだろ?」


 そういう望は目が座っている。


「だって、裕実と琉斗が一緒に寝ちまってるんだから、仕方ねぇだろー」

「裕実と俺のことを考えて、やっぱり、お前は布団貸してやるから、下のソファで寝ろよな」

「まったく、それって、どういう意味だよー。もう、俺は望のことを襲うなんてことサラサラねぇぞ」

「そんなことは分かってるけど……やっぱ、流石に」


 その望の言葉に和也は舌を鳴らすと、望に布団だけを渡され、下に向かう。


 望達は次の日がちゃんとした休みの日であった。


 望はアラームを掛けずに布団に入ると、雄介の匂いがする布団で眠りの中へと落ちていった。

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