「お風呂、ありがとうございます」
「ああ……」
和也は琉斗が上がって来ると、今度は琉斗の方へと向き、
「今日は裕実兄ちゃんと俺と、どっちと一緒に寝る?」
「裕実兄ちゃん!」
「じゃあ、裕実……琉斗のこと、よろしくな。俺は風呂に入ってくるからよ」
「分かりました!」
裕実はそう言うと、琉斗と一緒に二階へと上がって行った。
その間、和也はお風呂へと向かう。
望は相変わらず問題作りに励んでいた。
それからしばらくして、和也がお風呂から上がった頃、望はやっと問題が出来たのだろう。一階に響くような声を上げた。出来たことがよっぽど嬉しかったのだろう。
「出来たー!」
その望の声に和也はビックリしたものの、
「出来たんなら、良かったな。俺が言うのもなんだが、風呂にでも入って来いよ。俺が先に入らせてもらったけどよ」
「後はプリントアウトするだけだから、大丈夫だな」
望は疲れた体を伸ばし、そのままお風呂場へと向かう。
しばらくして、望はお風呂場から上がると、
「そういえば、裕実と琉斗は?」
「……へ? さっきの話、聞いてなかったのか? 琉斗は裕実と一緒に寝に行ったぜ」
「ふーん……」
そう望は最初気にも留めていなかったが、和也と一緒に二階へと上がると、本当に裕実は琉斗と一緒に客間で寝ていたのである。
「ってことは、俺は今日、和也と寝なきゃならねぇのか?」
「そういうことになるよな?」
「まさか、俺がお前と寝る訳にはいかないだろ?」
そういう望は目が座っている。
「だって、裕実と琉斗が一緒に寝ちまってるんだから、仕方ねぇだろー」
「裕実と俺のことを考えて、やっぱり、お前は布団貸してやるから、下のソファで寝ろよな」
「まったく、それって、どういう意味だよー。もう、俺は望のことを襲うなんてことサラサラねぇぞ」
「そんなことは分かってるけど……やっぱ、流石に」
その望の言葉に和也は舌を鳴らすと、望に布団だけを渡され、下に向かう。
望達は次の日がちゃんとした休みの日であった。
望はアラームを掛けずに布団に入ると、雄介の匂いがする布団で眠りの中へと落ちていった。