次の朝、望が起きると、いつものようにいい匂いが部屋内に漂っている。
望が急いで下へと降りると、もう既に雄介の姿があり、ホッとしたような顔をする望。
「もう、そんな時間だったのか?」
「もう、とっくに十時過ぎてんで……」
「そっか……」
「久々の休みで、ゆっくり寝てたんと違うか?」
「そうかもしれねぇな。ところでさ、裕実とか和也は?」
「和也はもう起きてテレビ見てるみたいやで……そういや、琉斗達はまだみたいやな」
「そっかぁ」
望がフッとソファの方へ視線を向けると、和也がソファの背もたれに両腕を乗せ、ニヤケている姿が目に入ってくる。
「なんだよー」
「いやな……望が雄介のことばっか見てるなぁって思ってよ。俺のこと、昨日下で寝かせたのは誰だよー」
「はいはい……分かってますよ」
「まったく。ま、いいけどさぁ」
「なら、言うな」
そんな会話をしていると、どうやら裕実達が起きてきたらしい。
「おはようございます」
「やっと、起きてきたか?」
「昨日は琉斗君と一緒に寝てしまったみたいで……」
「そのせいで、俺は望と一緒に寝ることになったんだけどな」
そう和也は冗談のつもりで言ったのだが、何故か周りの鋭い視線に目を丸くする。
「嘘だろー! そんな目で俺のこと見るなよなぁ、つーか、冗談なんだしよ。昨日の和也君は、望に結局、ここで寝かせられるハメになったんだからな。まさか、みんなからそんな目で見られるとは思ってもなかったぜ」
そのみんなの鋭い視線に和也は首をすくめる。
「まさか、俺が和也と一緒に寝る訳がねぇしよ」
「ま、それは冗談として、朝ご飯出来たで。琉斗はとりあえず俺の膝の上な」
「うん!」
雄介がテーブルの上に料理を運び終えた頃、望達も椅子へと座り、食事を始める。
「今日は雄介、テストするからな」
「分かっておるがな。久しぶりやし、点数が悪くても勘弁な」
「ただ、俺はお前が今、どれだけの能力があるか知りたいだけだからさ」
「ああ、分かっとる」