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ー天使ー67

 次の朝、望が起きると、いつものようにいい匂いが部屋内に漂っている。


 望が急いで下へと降りると、もう既に雄介の姿があり、ホッとしたような顔をする望。


「もう、そんな時間だったのか?」

「もう、とっくに十時過ぎてんで……」

「そっか……」

「久々の休みで、ゆっくり寝てたんと違うか?」

「そうかもしれねぇな。ところでさ、裕実とか和也は?」

「和也はもう起きてテレビ見てるみたいやで……そういや、琉斗達はまだみたいやな」

「そっかぁ」


 望がフッとソファの方へ視線を向けると、和也がソファの背もたれに両腕を乗せ、ニヤケている姿が目に入ってくる。


「なんだよー」

「いやな……望が雄介のことばっか見てるなぁって思ってよ。俺のこと、昨日下で寝かせたのは誰だよー」

「はいはい……分かってますよ」

「まったく。ま、いいけどさぁ」

「なら、言うな」


 そんな会話をしていると、どうやら裕実達が起きてきたらしい。


「おはようございます」

「やっと、起きてきたか?」

「昨日は琉斗君と一緒に寝てしまったみたいで……」

「そのせいで、俺は望と一緒に寝ることになったんだけどな」


 そう和也は冗談のつもりで言ったのだが、何故か周りの鋭い視線に目を丸くする。


「嘘だろー! そんな目で俺のこと見るなよなぁ、つーか、冗談なんだしよ。昨日の和也君は、望に結局、ここで寝かせられるハメになったんだからな。まさか、みんなからそんな目で見られるとは思ってもなかったぜ」


 そのみんなの鋭い視線に和也は首をすくめる。


「まさか、俺が和也と一緒に寝る訳がねぇしよ」

「ま、それは冗談として、朝ご飯出来たで。琉斗はとりあえず俺の膝の上な」

「うん!」


 雄介がテーブルの上に料理を運び終えた頃、望達も椅子へと座り、食事を始める。


「今日は雄介、テストするからな」

「分かっておるがな。久しぶりやし、点数が悪くても勘弁な」

「ただ、俺はお前が今、どれだけの能力があるか知りたいだけだからさ」

「ああ、分かっとる」

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