目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

ー天使ー88

 望が乗っているゴンドラを、先ほど雄介と話していたレスキュー隊員が窓を割り、ゴンドラへと乗り込む。


 そして望の状況を確認すると、ゆっくりとヘリへ運んでいく。


 その姿を見た雄介は安心したのか、とりあえず地上へ向かい、非常階段を降りていく。だが、例え命綱を取り付けていても、観覧車の頂上から降りるのはかなり怖い。


 いや、雄介自身は問題ないかもしれないが、他の人たちはおそらくこの階段を降りるのは無理であろう。


 雄介が階段を降りている間に、まず琉斗がヘリへ引き上げられ、次に裕実が引き上げられ、最後に和也が引き上げられる。


 その他の乗客も可能な限りヘリに乗り込み、この遊園地の駐車場へ下ろされていった。


 雄介は地上に降りると、急いで望たちが下ろされたであろう駐車場へ向かう。


 その駐車場へ向かい走っている最中、雄介は和也に電話をする。


「望の奴、大丈夫か?」

「ああ、大丈夫だ……多分、軽い脳震盪だって言ってるからさ」

「ホンマにホンマやろな?」

「もう嘘は吐かねぇよ。雄介が望のことを心配してんのは分かってるからさ」

「ほなら、良かった。とりあえず、もう、その駐車場に着くで……」

「ああ。一応、望だけは病院に運んで一度、検査してもらわなきゃならねぇからよ、救急車の中で待ってるからさ」


 雄介はその和也の言葉を聞き電話を切ると、急いで救急車が待機している駐車場へと向かう。


 それから一分もしないうちに雄介は駐車場へ到着し、すぐに救急車へ乗り込む。


 雄介が救急車へ乗り込むと、すぐに救急車は走り出す。


「ほんで、望の容態は?」

「多分、もう少しで意識回復するってさ」

「ほんなら、良かったわぁ」

「だから、ちょっと遠いけど、春坂病院に向かってもらってる」

「その方が安心するしな」

「ま、そういうことだ」


 雄介は、望が回復すると聞いて安心したのか、壁へ体を預ける。


 と、その時、望の瞳がゆっくりと開き、


「あれ? ここは?」

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?