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ー天使ー100

「急にどないしたん?」

「早く帰るぞ。今日は帰ってから、やらなきゃいけないことがあっただろー?」

「あ! テストのことかいな」

「ああ、そういうことだ」


 望はそう言うと、車にエンジンをかける。


「とりあえず、裕実と和也、また明日なぁ」

「そうだな……」

「そう言われてみれば、今日、そんな約束で遊園地に来たんですもんね。では、また明日……」


 裕実は望の車から降り、ドアを閉めると笑顔で手を振り、望たちを先に行かせた。


 遊園地の駐車場を出ると、望が口を開いた。


「なあ、さっき、お前さぁ、勉強せずに遊んでたって言ってたけど……テストの点数はどうだったんだ?」

「流石に百点までは行かへんかったけど……とりあえず、八十点台は取れておったかなぁ」

「へぇ、そうだったんだ。そんなだったら、お前ってモテてたんじゃねぇの? 文武両道ってやつだろ?」

「んー、まぁ、そうやと言えばそうなんやろうけどな。中学、高校って部活でサッカーやっとったしー、高校のレベルは中位のとこやったけど……学年でトップ十位には入っておったなぁ」


 その言葉に、望は思わず吹き出す。


「だったら、やっぱモテてただろ? お前、背も高いし、ルックスもいい方だしさ」

「どうなんやろ? でも彼女はおらんかったで。まぁ、サッカーの応援とかバレンタインの時に他の奴よりか沢山もらっておったのは覚えとるけどな」

「自覚なしか……。つーか、きっと女の子たちは逆に近付きにくかったのかもしれねぇな」

「どういうことや?」

「だってさ、多分なんだけどよ。お前って、女の子たちの理想のタイプだと思うんだけど、あまり良すぎてもモテねぇらしいんだよな。ほら、『彼女がいるんじゃないか』とか『自分と雄介とでは釣り合わない』とか思っちまってよ」

「そうやったんか!?」

「ああ、多分な。ってか、お前から告白したことはなかったのか?」

「高校ん時はまったく思わへんかったし、部活が忙しかったしな。まぁ、大学でちょっと落ち着いた時に俺から告白して、二から三カ月位だけ付き合った彼女がおったけど」

「もしかして、お前って、恋愛での失敗ってないんじゃないのか?」

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