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ー天使ー101

「……へ? どういう意味でや? だって、大学の時に付き合っていた彼女やって、告白したんは俺やったけど、最終的には振られたんやからなぁ」

「あ、あー! さっき、お前の姉さんが言ってたアレねぇ」

「そうやって……それは恋愛に関しての失敗やろうがぁ」

「まぁな……そう言われてみればそうなんだよなぁ」

「望はどうやったんや?」


 雄介は自分にばかり過去の話をしてくる望に、仕返しとばかりに聞いたのだ。


 いつもの望ならそんな話なんかしないのであろうが、


「あれ? 雄介には言ったことなかったんだっけ? 俺は女の方から告られて、ただただ女に付き合うだけで、いざ、抱くとなった時に下手だったから振られたってさぁ」

「あ、あー! そうやったな……。 せやけど、ホンマ、望は普通に女が好きやったんやろ?」

「どうなんだろうなぁ? 実際のとこ分からねぇんだよなぁ。 一回、女と付き合ってた時だって、俺は興味なかったしよー。 まぁ、初めて女と付き合って、全く恋愛とか付き合うこととか、知識が無い状態で付き合っていたしな」

「そうやったんか……。 でもさぁ、望はその女のこと好きやったんか? 告られたんやろ?」

「それもよく分からないんだよなぁ? 女に告られたから、断るのも可哀想だし、別に振る理由もなかったしなぁ。 そういう意味で俺は女性と付き合ってみたんだけどな」

「へ? 好きとかいう感情も無しに付き合っておったのか!?」

「多分な……。 なんて言うのかなぁ? 雄介と居ると楽しいとか幸せとか思えるんだけどさぁ、その女の時には特にそんなことは思ったことはなかったな」


 その望の言葉に、雄介は吹き出す。


「ちょ、ちょい! 待ってやぁ。 その彼女、望が下手とかいう意味で望のこと振ったんじゃないと思うで……。 望がその彼女を愛さなかったから、望のことを振ったやと思うんやけどなぁ」

「本来は、そうなのかもしれねぇよな」

「気付いてなかったんか?」

「ん、まぁ……。 俺は女に興味ねぇし」

「せやけど、男同士には興味なかったんやろ?」

「そうだなぁ。 確かに、雄介の時も最初は興味なかったんだけどさぁ。 『ま、とりあえず、付き合ってみるかなぁ?』って感じだったからな」

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