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ー天使ー105

「うん! いいよ!」

「ほなら、ピザでええな」

「ああ、そうだな」


 そして望達は家に着くと、雄介はピザ屋へと電話をし、今日は雄介が作った料理ではなくデリバリーで済ました三人。


 その後もいつものように雄介が琉斗のことをお風呂に入れようとした直後、


「な、雄介……あのさぁ、もし、雄介も裕実もいない時に琉斗のことを俺がお風呂入れることになったら困るからさ、今日は三人でお風呂に入らないか?」

「……へ?」


 望の珍しい質問に雄介は一瞬頭にハテナマークを浮かべたのだが、すぐに笑顔になると、


「せやな、三人で風呂に入ろうか? 琉斗もええやろ?」


 そう雄介は琉斗に振ると、琉斗は笑顔を雄介と望に向け大きく頭を頷かせる。


「ほな、三人でお風呂に入ろうや」


 雄介も望に笑顔を向け、三人はお風呂に入る準備をすると、脱衣所へと向かう。


「三人やとちょいと狭い感じがすんねんけど……たまにはええもんやなぁ?」

「そうだなぁ」


 流石に大人二人でも狭いと思っている浴槽。 雄介は浴槽に入ると、琉斗を膝の上に座らせ、三人で浴槽へと浸かるのだ。


「あのさぁ、もし、パパとママと一緒にお風呂に入ったらこんな感じなのかなぁ?」


 どこから、そんな言葉が出てきたのかは分からないのだが、琉斗は今自分の頭によぎったことを質問しているようだ。


「せやなぁ? って、琉斗……どういう意味で『こんな感じ』なん?」

「んー……楽しいのかなぁ? ってね」


 別に雄介達はただお風呂に入ってきただけで、琉斗にはまだ楽しいと思えることはしていないのだが、何故か琉斗は『楽しいのかな?』と思えているようだ。


 雄介が首を傾げていると、


「よく分からねぇけど……多分、琉斗は『楽しい』じゃなくて、『幸せ』ってことを言いたいんじゃねぇのか? それだったら、意味が通じるじゃねぇかぁ」

「確かに……そうやな。 まだ、琉斗は小さいから言葉少ないやろし。 『幸せ』って言葉を知らんのかもな」

「まぁ、多分だけどな」


 雄介は琉斗の方へと視線を落とすと、


「琉斗が楽しいと思えるんやったら良かったわぁ。とりあえず、俺達と一緒に住めるのは後もう少しやし、頑張ろうなぁ」

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