「なぁ、望……琉斗知らへんか?」
「琉斗、いねぇのか?」
「まさか、さっきのことで傷ついて外に行ってもうたんと違ゃうやろか?」
「流石にそれはねぇだろ? 琉斗の奴、それはそれで納得してたみたいだからよー」
「ほんなら、何でいないんや?」
「先に二階に行ったんじゃねぇのか?」
「それなら、ええねんけどなぁ」
「とりあえず、俺が見てくるから、雄介はテストの方やってろよ」
「分かったって」
望は琉斗を探しに部屋内を回り始めた。
しかし、望や雄介の予想とは裏腹に、二階にも琉斗の姿はなかった。
「……へ? マジでどこに行ったんだよー。とりあえず、部屋の中、探してみるしかないよなぁ?」
そう独り言を漏らしながら、望は部屋中を探し始めた。
まず、外に出ていないかを確かめるため玄関へ向かう。だが、内側から鍵がかかっており、誰かが外に出た気配もない。玄関には琉斗の小さな靴がちゃんと置いてある。これなら琉斗は部屋の中にいるはずだ。
「……ってことは、琉斗は確実に部屋にいるってことだよな?」
望は辺りを見渡し、もう探す場所がないことに気づく。二階も一階も、部屋という部屋を探してきたが、琉斗の姿はどこにもない。今の家はシンプルな一軒家で、部屋数も少ないため、普通なら簡単に見つかるはずなのに、全く見当たらない。望は首を傾げながらも考え込む。
「後は……地下か? まさか、地下に行くには鍵がかかっていて行けるわけがねぇしなぁ?」
そう独り言を漏らしながら、階段裏にある地下へ繋がるドアの前まで行くと、いつも閉まっているはずの鍵が開いていた。
望はため息を漏らし、地下へと向かう。案の定、階段には電気が点いていて、誰かが通った形跡がある。
「ってことはここか……」
再びため息を漏らしながら、望は地下室の部屋へ入る。淡い明かりが点いており、部屋の真ん中には佇む少年の姿があった。
「琉斗……そこで何してんだよー」
「探検してたら、ドアがあったから入ってみたかったの……」
「そっか……でも、急にいなくなるなよな……みんな心配するだろ?」
望は琉斗を抱き上げ、リビングへと向かう。
「ねぇ、あの部屋って何!? 女の人が着るお洋服とか、いっぱいお道具とかがあったんだけどー」