「……って、もしかして、お前の友達に電話した方がええんと違ゃう?」
「雄介、それは絶対に止めた方がいいぞ」
「なんでや、和也の友達に警察の奴がおるんやったら、その知り合いに連絡した方がええんと違ゃうの?」
「ハッキリ言って、アイツは使えないんだよなぁ。親父が警察の上の方の人らしくてさ、まぁ、実力で入ったのには変わりねぇかもしれねぇが、階級はどうだか分からねぇぞ」
「そうそう! 雄介、言うが……和也の言う通りなんだよな。前にさぁ、俺等、ハイジャック事件に巻き込まれたことがあるだろ? そん時にアイツ、全然、人を助けようって気持ちにはなかったみたいだしな。あの事件は雄介が動いたからみんな助かったようなもんだしさ」
「そうやったん?」
「ああ。とりあえず、アイツに頼む位なら、地元警察に頼んだ方がいいんじゃねぇのか?」
「そうだな。雄介、お前が電話した方がいいんじゃねぇのかなぁ? 歩夢が誘拐された時の唯一の目撃者だしよ。さっき、車のナンバーを覚えてるって言ってたからな」
「ああ、せやな」
雄介は和也に言われると、警察へと電話をする。
雄介は電話し終えた後に一息吐くと、
「警察は今んとこ、あんま動いてくれないらしいんやって……まだ、事件になってへんからなぁ。まぁ、ナンバーは確認してみてくれるとは言うとったんやけど。ほら、歩夢の家族関係に身の代金要求の電話も来てない訳やし、せやから、警察は動いてくれへんみたいやで……」
「そういうもんなのかぁ。アイツじゃなくても警察って何の為にあるか分からねぇもんなんだな」
「せやな。ドラマみたいな熱い刑事さんというのは居らんっちゅうこっちゃな」
「って、どうすりゃ、いいんだよ」
「警察が動いてくれないとなると、自分達で歩夢のことを探し出さなきゃアカンっちゅうことやな」
「俺達だけで歩夢の居所なんて分かるもんなのか?」
「無理に決まってるんやろうけど、とりあえず、やらなきゃ歩夢は助からんっちゅうことやろ?」
「ま、そうなんだけどさ」
やはり警察関係に詳しくはない三人は一同に溜め息を漏らす。