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ー決心ー45

「せやけど、歩夢は大丈夫なんやろうか?」

「ん? あんなに嫌っていた歩夢を雄介は心配すんのかぁ?」

「んー、やっぱ、コレとソレでは違うんやな。今、歩夢がどない目に合ってるのかと思うとやっぱ心配やねんって……。まさかとは思うねんけど、殺されとったら……ってな」

「大丈夫だって! 多分だけどな」

「やっぱ、雄介の言う通り、その可能性はあるってことだよな?」

「ん、まぁ……誘拐って言うたら、金目的か殺す目的しかないしなぁ」

「やっぱ、そうだよな。俺の時は金目的で、身の代金要求の電話があったらしいが、今回はそれがないということは殺し目的ってことか……で、親父を精神的に追い詰めて、病院経営を出来なくするってのが目的の可能性が高いって訳か」

「ホンマ、卑怯なやり方やな。でも、あくまで俺等の勝手な推理やろ? もし、違ってたら?」

「ま、雄介の言う通り……あくまで推理だからな。今はそんなことを言ってる場合じゃねぇんだよ。歩夢の居所と歩夢を助けに行かなきゃならねぇんだからよ」

「確かに、そうなんやけど……居所……な!?」


 雄介は何か思い当たる節があったのか言葉を止めると、いきなり立ち上がり、


「な、なぁ、もしさ、首謀者が前と同じ奴やったら、前に望が監禁されていた場所に歩夢が居ると違ゃうの?」

「そうかもしれねぇが、あの場所は確か爆破されたんじゃなかったんだっけ?」

「そんでも、その周りには似たような倉庫みたいな建物があったしな」

「それなら、とりあえず、そこに向かってみるか?」


 和也はそう言うと立ち上がる。


「そうだな! ダメ元で行ってみるしかねぇよな。和也、車よろしく! 俺はその場所を覚えてねぇしさ」

「その場所やったら、俺が覚えてんで……」

「なら、雄介は助手席な」

「ああ」


 三人はそうと決めると、着替え歩夢が居るであろう場所へ向かうのだ。


 確かに雄介の言う通り、前に望が監禁されていた場所は倉庫街で、望が監禁されていた建物は、もう瓦礫等が撤去されているだけで他の倉庫は建っていた。


 夜の倉庫街は昼間とは違い活気も無く、やはり人の気配もない。

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