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ー決心ー106

「そうなのか……。三年も実家に帰ってない理由って、そういうことだったのか」

「まぁなぁ。俺は学生時代から男と付き合っていたからさ、そん頃から、何でかうるさいように結婚しろって言われてたんだけどな。でも、何でなんだろうなぁ? そんなにしつこいくらいに結婚しろって言ってたんだろうな」

「それは分からないけどさ。お前に幸せになって欲しいからなんじゃねぇの? 親ってのは子供が幸せならいいって感じみたいだしよ。俺は小さい頃いなかったけど、今は幸せを感じるよ。 雄介と出会って、親父とか承認の恋人だからな」

「だよなぁ。俺も裕実のこと、親に認めてもらおうかなぁ?」

「そういうことに抵抗がある親なのか?」

「それは分からねぇけど、早く結婚しろっていうことはさぁ、認めてくれねぇかもしれねぇな」

「確かにそうかもしれねぇな。とりあえず、俺は親公認って感じだけどよ。普通に考えて同性同士ってのは認めるって方が少ないだろうからな」

「そういうこと。だから、たまに考えさせられちまう時がある。このまま、裕実と付き合い続けていいのかな? って……あ! いや! 裕実のことが嫌いって訳じゃねぇぞ!」


 和也はソファへと仰向けになって天井を見上げる。


「分かってる……」

「お袋は真面目だからなぁ。そんなことを聞いたら、倒れちまうかもしれねぇしな」

「和也のお袋さんって、そうなのか?」

「ああ。真面目もいいとこ……自分一人で俺のことを育ててくってのがあったのかなぁ? 怖かったしさ」

「そうだったんだ。 ところで、お前の親父さんは?」

「ん?」


 和也は望のその言葉に今まで横にしていた体を起こすと、ソファへと腰を下ろし顔を俯けると、


「前に言わなかったかなぁ? 俺の親父って、医者だったんだよ。俺の事保育園に送ってる時だったかな? それで事故って俺の目の前で冷たくなっていっちまったんだよ……」

「ってことは、和也が小さい頃に死んだってことか?」

「うん、まぁな。だから、お袋は俺に医者になることを反対したんだ。だから、仕方無しに看護師になったんだけどな。まぁ、女で一つだったから、医大に行く金はなかったって事もあるんだけど」

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