暫くして望はリビングへと戻ると、雄介は立ち上がり、
「ほな、昼飯にするかな?」
「あ、ああ……そうだな」
望はそう答えると、ソファへと腰を落とす。
雄介はキッチンで望のためにご飯を作り終えると、望のことを呼びに行ったのだが、どうやら望はそのままソファで寝てしまったようだ。
今までの疲れと、やっと自分の家に帰宅できたという安心感から寝てしまったのかもしれない。
「ま、しゃーないか……ずっと寝ずに頑張っておったみたいやからなぁ。それに、今は飯ってより電子レンジでチンもんしか作れんかったし、望が起きてから、また、チンすればええねんな」
雄介は独り言を漏らすと、望に毛布を掛け、望が見えるソファへと腰を下ろす。
幸せそうに眠る望を見て雄介は微笑むのだ。
それから約三時間後、望は目を覚まし、
「もう、起きてまったんか?」
「あ、ああ……」
まだ望は完全に目を覚ましてないのかもしれない。望は寝ぼけた目で辺りを見回していた。
「ご飯食うか?」
「あ、ああ……そうだな。ってかさぁ、俺、いつの間に帰って来たんだ?」
寝起きそうそうボケをかましたのであろうか。寝起きだから仕方がないというところであろうか。
雄介は望のその言葉に一度はこけそうになったのだが、体勢を立ち直し、
「さっき、自分で帰って来たやんかぁ」
「そうだったのか……。夢にでも出てきたかなぁ? 今さっきまで仕事していたような気がしてさ」
「ん、まぁ……今さっきまで仕事してたのは確かかもしれへんなぁ。望はまだ三時間位しか寝てへんし」
「そっか……まだ、そん位しか寝てなかったのか」
「ま、そういうこっちゃ。だから、まだ、仕事してる気やったんと違ゃう?」
「そうかもしれねぇな。とりあえず、飯を食うしよ」
「あ、ああ……ほな、用意してくるな。って言ってもチンやけどな」
「ま、しばらくは雄介が作った飯を食いたいとは言わねぇよ……腕を怪我してるんだからな。 暇な時は俺が作るようにするしよ」