「ホンマ、スマンなぁ、俺が怪我しなきゃ、俺が飯とか家事が出来たのにな」
「それは仕方ねぇだろ? 事故で怪我したんだからさ。ま、たまにはゆっくりしろってことだろうしな。それに、逆に言えば、利き手じゃない方で良かったじゃねぇか……勉強に遅れなくて済んだしよ」
「ハハ……そうやな。ホンマ、これ以上遅れる訳には行かへんし。学校の授業遅れると大変なことになるしなぁ。やっぱ、難しいしな……」
「でも、理解は出来てんだろ?」
雄介はテーブルの上にご飯を並べると、席へと腰を下ろし、
「まぁ、何とか理解してるってとこやろな?」
「……へ? 雄介でもそんな難しかったか? あの難しい問題を解いたのにか? しかも、大学のテストも合格したのに?」
「難しいんやって……ホンマ、医学部を甘くみとったって感じやなぁ」
「嘘じゃねぇだろうなぁ」
望は雄介が作ってくれたご飯を口にし、
「難しいのは難しいんやって……。こんなのが六年も続くとなると頭がパンクしそうやー!」
雄介は両手を上へと上げ、お手上げ状態ということをアピールする。
「ま、お前なら大丈夫だろー。俺より頭良さそうだしさぁ」
「そんな訳あらへんやろー?」
「それは分からねぇぞー。それに俺もしばらく勉強してねぇしな」
「ま、俺もしばらく勉強してなかったしなぁ、せやから、現役大学生には付いていけないって訳や」
「ま、そうだな……俺も多分ついていけないと思うしー」
「ま、そういうこっちゃ……」
話をしながらご飯を食べ終える二人。
「ほな、これからどないする?」
「何をするって……まだ、お昼過ぎたばっかりだろ?」
「暇やなぁーって思ったんやけど……」
「確かに暇だけどさぁ、やることがねぇだろ?」
「確かにそうやねんけどな……こう……二人でイチャイチャー、とかやなぁ」
そんなことを言ったら望に怒られると思ったのであろう。雄介は言いにくそうに望に告げる。
「い、イチャイチャ?」
今の雄介の言葉で久しぶりに二人きりでいることに気付いたのであろう。望は少し雄介のことを意識してしまったようだ。