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ー決心ー123


「やっぱり、新城は流石だなぁ。仕事はきちんとしてるようだ」


 雄介はその望の言葉に転けそうになっていた。


「望が腕を取ったから、俺んこと抱きしめてくれるんかなぁ? と思っておったら、そっちかいなぁ」

「……へ? 当たり前だろ。俺が雄介のことを診た訳じゃねぇんだから、一応、診てみねぇとだしな……やっぱ、心配だからな」

「そうねんけど……」

「いずれお前も分かるようになってくるんだから……今、ある意味、自分の体を勉強しといた方がいいんじゃねの? それに、お前はあんだけ怪我してんだから、患者さんの気持ちも分かるんじゃねぇのな?」

「そりゃ、もう! 十分過ぎる位に怪我とかしている人の気持ちが分かるわぁ。五体満足が一番ええってことやな。例え、利き腕やなくても片手が使えへんのはむっちゃ大変やって事もな。こうやって望のことも抱く事も出来へんし、気持ち良くさせることも出来へんしなぁ」

「ま、まぁ……そうだけどさ……」


 望は咳払いをすると、


「とりあえず、あ、お前……欲求不満なのか?」


 流石にそういう事に関しては素直に聞けないのか、若干、小さな声で雄介に問うのだ。


「当たり前やんかぁ! ここんとこ全然してへんかったしなぁ。そりゃあ、欲求不満やっちゅう事やな」


 そう力強く言う雄介。


「ならさ……今日はお前のことをイかせるだけでいいか?」


 望は雄介のことを見上げながら言問う。


 そんな望に若干体を引き気味に、雄介は、


「あ、えっと……その……」


 雄介は望から視線を反らすと、


「ええよ……」


 その言い方だと、『いいのか』『悪いのか』が分からない。


「どっちだよ」

「あ、せやから……ええって。遠慮しとくって意味の方や」


 望は溜め息を吐くと、


「何で、お前はそういうとこは素直に俺に体を預けないんだよー。俺がその気になってんだから、遠慮しなくていいのによ」

「んー、でもな……望に、その……シてもらうのは……その……なんやろ? 望だけにやってもらうのは……そのな……んー……」

「ったく! 俺だって、お前に気持ち良くなってもらいたいから言ってるのによ。それに、前に裕実と話をした時に、和也は裕実にそういう事をやらせるって言ってたぞ。寧ろ、当たり前だって言ってたんだからな」

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