目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

ー決心ー126

「分かった。なら、今日は俺が作るよ!」


 望は立ち上がると、冷蔵庫へと向かうのだが、雄介は望の行動に何か気付いたのか、


「スマン! 冷蔵庫ん中、何も入ってないんやわぁ。ほら、ここんとこ望が家におらんかったやろ? それに、俺、腕怪我しとったし、飯作れなかったから、今までコンビニ弁当で済ましておったからな」


 半分苦笑いで言う雄介。半分苦笑いなのは、あまり栄養が無いコンビニ弁当で済ましていたことに申し訳ないと思ったからであろう。


 そう前に雄介は望に『コンビニ弁当は栄養があまり採れないから止めておいた方がいい』と言っていたからなのかもしれない。


 望は溜め息を吐くと、


「それは仕方ねぇだろ? 俺は仕事でいなかった訳だし、お前は腕怪我してんだからな。そんな怪我してる奴に『自分で料理を作って食べろ』とは言わねぇよ」


 望は間を置くと、


「それなら、やっぱり、今日は俺が作るよ」

「せやけど、望は疲れてるんやろ?」

「少し寝たから大丈夫だって。 寝ないのなんて当たり前なんだからよ」


 望は車の鍵を取ると、上着を羽織り、


「夕飯の買い物に行くぞ」

「あ、ああ! せやな……」


 まさか望から外に出ることに誘われるとは思っていなかった雄介は慌てて、ソファの背もたれに掛けておいた上着を取ると、望の後に付いて玄関へと向かう。


 だが自分がスウェット姿なのに気付く雄介。


「流石にスウェットじゃアカンか?」

「別にいいんじゃねぇの? どうせ、スーパーに行くだけだしよ」

「コンビニならともかく、夕方の混雑している時間にこの姿でスーパーな……?」

「別に気にするとこじゃねぇだろ? それに、お前の私服って、お出掛け用の私服しかねぇんじゃね?」

「あ、確かにそうかもしれへんな。ついこの間まで仕事に行く時は仕事着やったし、後は望と出掛ける時用の服しか持ってへんし、後は家着やしな……」

「だろー? なら、学校行くにももう少しラフな格好でいいんだしさ、今日はお前の服も買いに行くか……」

「ほなら、スーパーやなくて、少し遠くに行くんやろ? やっぱ、服変えてくるわぁ」

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?