和也は朔望の言葉に吹きそうになった。
「え? 歩夢もお前もそういう奴だったのか? ま、望はそういう世界に引き込まれたって方だけどさ」
「ま、それを知ってるってことは僕はそういうことになるよね? 和也もそういうとこの人間だってこと言っているけど……」
「別に……俺は相手がそういう人物なら、ババをめくられても構わないからな」
「和也は、そうだろうけど……。 和也の恋人である同じ看護師、本宮裕実さんはどうだろ? そして、兄さんも……僕もそういう世界の人間だから、オープンにはしてるけどさ」
「まさか、小児科でそんな事をしてるんじゃねぇだろうな?」
「さっき言っただろ? 僕は仕事には真面目だって……。 それに、幼児相手に流石に僕のムスコさんは勃たないし。 ま、逆に言えば僕が小児科医になったのは、内科医や外科医だとタイプの人物が診察に来てしまったら? って思ったしね……だから、小児科医になったというのもあるけど……」
和也は朔望の言葉に溜め息を吐いた。
「それって、立派な不純な動機じゃねぇか」
「いや……不純ではないだろ? 言葉を間違って使ってもらっちゃ困るなぁ。 僕はわざと避けて小児科をやっているんだからね。 子供は『ライク』だけど『ラブ』ではないしね」
「あ、ああ、まぁ、そうだけどよ。 ってことはお前は俺と同じ側か?」
「話の流れからすると、そう思わないのか? 和也って何気に鈍い?」
その朔望の言葉に、流石の和也も頭にきたのか、
「いや……分かるよ。 だけど、初対面の人間にただいつもの俺のように突っ込んでいいのか迷っているだけなんだからよ」
「さっきも言っただろ? 僕の方は構わないって……。 それに僕も十分に君に心開いてるから、いつもの自分を君に曝け出してるんだからさ。 それに初対面の人間に対して、自分がその手の人間だということを言うと思うか?」
確かに朔望の言う通りである。初対面の人間に対して自分がその手の人間だということをあまり口にはする人はほとんどいないだろう。
「分かった、分かった……お前がそうなら、俺もいつもの俺でいくよ。 じゃあ、今まで恋人は居たのか?」