「そういうことかもしれませんね」
「このまま、大人しく和也達が助けに来てくれるのを待っている方が危なくないかもしれないよね」
「そうですね。 和也達には僕達の居場所を教えているんですから、助けに来てくれますよね?」
「でも、あんな大ざっぱな居場所で分かるかな? って、そこが疑問かな?」
「大丈夫です! 和也なら、絶対に僕達のことを見付けて下さりますからね!」
「どこから、そんな自信が出てくるの?」
「愛のパワーです!」
そう裕実に朔望は自信に満ち溢れた顔で力強く言われ、一瞬目を丸くしたのだが、
「そっか……。相手を"信じる"のも自信の一つな訳ね」
「そうですよ。吉良さんも歩夢君を信じてみてはどうですか?」
「歩夢……? 歩夢も僕のこと探しに来てくれるかな? まず、この事件のことを知ってるかどうかなんだけどなぁ。それに、例えば歩夢が事件のことを知っていたとしても、別に僕のことは探しに来てくれないと思うけど」
「そんなことはないと思いますよ! 歩夢君も吉良さんのことを探しに来てくれると思いますから!」
「じゃあ、賭けてみる? 僕はとりあえず歩夢には連絡しないよ。何も知らない状態で歩夢は探すという行動に出てくるかな?」
「それでは、歩夢君が吉良さんの事を探しようが無いじゃないですかー。だから、歩夢君には監禁されていることは伝えて下さい。そうじゃないと、歩夢君が吉良さんを探しに出ることが出来ませんから」
「分かったよ。ある意味、いい機会だしね。自分の相手の気持ちを分かるのだからさ」
「その言い方だと、吉良さんは歩夢君のことを信用してないというか信じてませんよね? 歩夢君のこと信じて下さいよ!」
そう裕実は強く言うのだ。
「大丈夫! 大丈夫! 僕は歩夢のことを信じてるよ」
そんな言い方をすれば明らかに朔望は信じていないのが分かるのか、そんな朔望に裕実は疑いの目を向ける。
「とりあえず!」
そう裕実は何かを言おうとしたのだが、朔望は無言でジェスチャーで静止を求め、
「今、歩夢にメールしてるから、ちょっと黙ってて……」
「あ、スイマセン……」
暫くして朔望は顔を上げると、
「これで、歩夢にもメールをしたから、歩夢が先に見つけに来てくれるか? 和也達が先に見つけに来てくれるのか? って事が楽しみだね……」