「ま、そうなんだけどよ。まぁ、歩夢は朔望のことが好きなんだなって思っただけさ」
和也はそう言うと、今度は雄介に向かい、
「俺さ……やっぱ、警察に頼むより、自分で探すことにするわぁ。確かに危ないのも分かってる……だけど、自分の力で恋人を探したいっていうのかなぁ? 警察署とかで指を加えて待っているタイプじゃねぇし。確かに相手は銃を所持しているかもしれねぇけど、恋人は自分の手で助けたいんだよなぁ」
そんな和也に対し、歩夢も更に身を投げ出し、
「雄兄さんはどう思う? もし、望兄さんが、危険な目に合っていたら、警察なんかを頼りにしないで探したいって思わない?」
その歩夢の質問に雄介は頭を頷かせる。
「やっぱ、和也達の言う通りやな。もし、望がそういう状況におかれたら、俺も居てもたっても居られない状態になると思うし。ま、とりあえず、警察には裕実達の居場所だけは頼んでおいて、後は自分達でも裕実達のことを探そうや」
二人の意見を聞いた雄介は、二人に向かい笑顔を向ける。
二人共、恋人への想いは強いようだ。どうやら雄介はそこを尊重し雄介も賛同したのだから。
「とりあえず、どうすっかなぁ? ナビは宛にならないだろうし」
和也はフッと窓の外に目をやると、もう外は闇が迫ってきていた。
メールの内容にあった富士山の姿は見えない位に夕日は完全に沈みかけてきている。
後はタワーの位置だけが頼りになるだけだ。
タワーは夜になるとライトアップされ、そのライトでタワーのある場所だけは確認出来る。
「後はタワーと仲良し公園ってのが頼りになるな……」
とそこへ雄介にメールが入るのだ。
雄介は最初裕実達からだと思ったのだが、どうやら相手は雄介の恋人である望からであった。
『裕実達見つかったか? 俺の方は大丈夫だから、絶対に探してくれよ』
たったそれだけの文章だが、十分に望も裕実達のことを心配しているのが分かる。
「今、望からメールが来たんやけど。望も裕実達のこと心配してるみたいやで……」
「そっか……。望の為にも早く見付けてやらないとな。ほら、雄介を借りてる訳だしさぁ」