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ー平和ー79

「もう、そろそろ、完全に陽が暮れちまうな」

「せやね……。な、闇雲に探すより、ナビ使うてみたらどや?」

「ナビ!?」

「何もそんなに驚かなくてもええやんか……。望の車にはナビは付いておらんけど、和也の車やったら、付いておるんやろ?」

「あ、ああ! 忘れてた。ナビなんか遠くに行く時に位しか使わないからなぁ。でもさ、住所がハッキリしてねぇと意味ないんだぜ。 "仲良し公園"だけでは、やっぱ、探せねぇんじゃねぇかなぁ?」

「物は試しって言うやろ? 試してみたらどや?」

「ま、とりあえずな……」


 和也は今は助手席座っている雄介に言われて、車を一旦止めナビを起動させる。


 和也は現在地を確認すると、


「今はココなのか……」


 そう軽く独り言を漏らし十字キーを使いその辺りを確認するのだが、やはり”仲良し公園"という名称の場所は和也のナビには表示されなかったようだ。


「やっぱ、ねぇな……」


 和也がそうぼやいていると、


「な、俺等で探すのもええねんけど、警察も動いておるんやろ? 警察に案内してもらって、行った方が安全やと思うねんけどな。ほら、俺等、今まで、冷静やなかったけど……その方が簡単違ゃうかな? って……」

「あ! 確かにそうかもしれねぇな。犯人達は銃を持っている訳だしな」

「そういうことやな」

「でもさ、なんか警察に任せるのって……なんつーのかな? やっぱ、裕実達は俺達に探して欲しい訳みたいだしさ」

「でも、怪我とかしたら元も子もないやんか」

「ぅん……まぁ、そうなんだけどさ」


 どうやら和也は警察に任せることに納得してないようだ。 未だに渋ったような表情をしているのだから。


「和也の気持ち分かりますよ。僕も自分達で朔望のこと探したいですからね」


 今まで黙って後部座席に居た歩夢だが、急に身を乗り出しそう言うのだ。


 そんな歩夢に目を見開く和也と雄介。それは、一体どういう意味なんであろうか。


 今まで黙っていた歩夢がいきなり口を開いたから驚いたのか、それとも恋人として心配しての発言に驚いたのか、はたまた兄弟として心配している歩夢に驚いたのか、定かではないのだが。


「当たり前でしょー? 僕が朔望のことを心配するのはさぁ、だって、僕達は一応、恋人同士なんだしー、それに、兄弟でもあるんだからね」

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