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第17話 因果応報とはこのこと

☆☆☆


「......なんで置いていったの」


「いやあの」


「ねえ、どうしてなのかな、かな。」


「やめてその某ひぐらし!表情も相まって怖いから!」


放課後、部室の扉を開けると、先輩2人がハイライトのない目で、こちらを見てきた。怖くなって逃げだそうとしたところ、先回りされて壁に詰め寄られ、今に至る。


どうもあの後、2人はちゃんとHRに遅れたらしい。ざまあみろ、初日の復讐じゃ!と言いたかったが、そんなことが言える雰囲気ではなかった。


「先に行くにしてもさ、一声かけるかとかあるよね。なんで黙って行っちゃったのかな。」


「い、いやあ......先輩たちなら大丈夫かなあって思いまして。なんだかんだ間に合うんじゃないかな~......と。」


「で、間に合わなかったわけだけどさ。この状況、どのようにお考えで?」


「ええっと、そのですね......」


実先輩の表情がいちいち怖い。今にも鉈とか出してきそうな雰囲気あるよ。マジでこの人ひぐらしいけるよ。そのレベルだよ。


と、いうかだ。俺はそろそろ我慢の限界なので、ずっと思ってたことを口にした。


「あの、そもそも遅れたのは先輩たちの責任でしょう。人のアルバム見てぐへぐへいって、周り全然見えてなかったじゃないですか。」


「うぐっ」


「それに、実先輩?人に怒る前に、自分の非を謝るべきでは?声をかけなかったのは悪いですけど、それを人のせいにするのはどうかと思いますよ。」


「ぐふっ」


咲月先輩と実先輩は、それぞれダメージを受けて床に崩れ落ちる。


「い、いや......こんなアルバムを見せてくる君が悪いね。あんなの見せられたら絶対時間の感覚なくなるって。」


「そ、そうだそうだ!見せてくるほうが悪い!あんなの、周りが見えなくなることくらいわかるでしょ!」


変な方向から逆切れしてきた。俺はため息をついて、2人の頭に手を置く。


「俺は見ていいって許可を出しただけです。読んで字のごとく、水を得た魚のように食い入るように見てたのはお2人でしょ?なら自己責任ってやつですよ。」


「いやでも―」


「だから―」


「はいはい黙りましょうね~」


そのまま、2人の頭をなでる。有無を言わせなくする戦法だ。


「「はうあっ!?」」


2人して驚きの声を上げたかと思うと、そのすぐ後には、ふにゃふにゃの顔で気持ちよさそうになでられていた。まるでまわりにお花畑でも出ているかのような、「わふ~」という効果音というか声が似合いそうな、そんな雰囲気だ。てかほんとうに2人とも、「わふ~」って言ってるし。


この戦法はしばらく使えそうだぞ、と、思わぬところでひとつ武器を得た俺なのだった。


☆☆☆

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