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第三話 その力絶大に―白虎

何をしたか?って、魔王が叫びたくなるのもわかる気がする。あんな攻撃を食らってなんで無傷なのか俺自身理解してないんだからな。あまりの出来事に思わず笑ってみたが、この先どうすればいいのかまったくわからん。




玄武『先ほどのは我ら四神の加護じゃ。一度だけ如何なる攻撃も打ち消す加護をお主につけておったのだ』




ああそうかい!それならそれで早く教えてほしかったけどね!つくづく、この四神の気まぐれに振り回され血涙が止まらない。




玄武『だが、さっきのハッタリはよかったぜ』




朱雀『ええ、相手が警戒して追撃をしてきません』




たしかに、魔王の顔は警戒しているようだ。そりゃ自分の一撃を無傷で耐え、笑みを浮かべてたら警戒もするだろう。しかし、それも長くはもたない。




神「で、こっからどうすればいいんだ?俺はあんたらの力について何も聞いてないぞ」




あまりに四神に振り回されすぎて言葉に気を遣うこともできない。




玄武『お主には我らの力を四つ授けてある。だが、これを一つ一つ説明し、教えている時間はない」




そりゃそーだ。敵陣のど真ん中どころか、敵の大将の目の前に放り投げた挙句、一回しか使えない四神の加護まで使っているんだから教える時間なんてあるわけない。




神「いや、でも、それでどうやって…」




白虎『ごちゃごちゃうるせーな!ようはぶっつけ本番!感じやがれ!」




脳筋―。四神、全員があまりに脳筋過ぎる。なんだコレ?四人も神様いて全員脳筋ってどういうことだよ!


ため息をつきたいが、すでに魔王がしびれを切らして次の攻撃のために動き出そうとしている。もはや迷っている時間も考えてる時間もげんなりする時間もない。癪だがもはや感覚でやってのけるしかないのだ!




神「あああああ!もう、どうにでもなれえええ!!!」




意識を自分の中に向け、中で滾っている四つの力を見つける。色で表すなら赤、青、白、黒だ。どれも凄まじい力を感じる。その中でも誇示するかのように力を発する白の力に手を伸ばす。


分かる。これは白虎の力だ!




神「行くぞ!白虎!」




その瞬間、力が溢れ出した!目と髪は白く変化し、顔には虎のような紋様が浮かび上がる。溢れ出る力によって周囲の地面や壁に亀裂が走る!


勝てる!これなら魔王コイツに勝てる!


魔王は突然、力を解放した俺に驚きを隠せないようだ。




地面を蹴り魔王の眼前まで一足飛びで距離をつめ、右ストレートをぶちかます。あまりのスピードに魔王も咄嗟に防御するが、予想以上の攻撃で体が後ろにズレる。


この攻撃力に更なる確信を得た俺は、猛攻を仕掛ける。魔王もなんとか凌いではいるが、徐々に均衡が崩れ被弾し始めた。


魔王の脇に隙を見つけ、そこに右の蹴りをブチかまし、魔王を壁まで吹っ飛ばした。




スカー・ブルート「ぐはぁっ!!」




壁に叩きつけられた魔王は吐血し、膝をつく。少しはダメージがあっただろうか。追撃のために構えた瞬間―。




スカー・ブルート「ふふふふ…。凄まじい速度スピードと攻撃力パワーだ。よもや我に片膝をつかせるとはな。正直、驚いたよ…」




血を拭い立ち上がり、余裕の笑みを浮かべている。結構いいのが入ったんだが、まるで効いてないようだ。




スカー・ブルート「だが、この程度では我を倒すことなどできんよ。闇の刃で切り裂かれろ 闇刃の舞ナイトシザーズ




無数の黒い刃を召喚し、敵を切り裂く闇の最上位魔法。


縦横無尽に襲い掛かる黒い刃を神は避けながら魔王に近づこうとする。




神「このくらいならどうってことないぜ!」




スカー・ブルート「だろうな。シャドーボール!」




近づいてきた神めがけてシャドーボールを放つ!それを紙一重でジャンプで躱す。




スカー・ブルート「空では避けることもできんだろう。極大 シャドーボール!」




先ほどとは比べ物にならないほど巨大なシャドーボール。




神「くっ…!」




あまりの巨大さに避けることができず、直撃を食らってしまう。大爆発とともに天井がすべて吹っ飛ぶ。


次の瞬間、爆煙を赤い何かが払い飛ばす。


そこから現れた神の瞳と髪は紅く染まり、炎のように揺らめいている。そして、背中からは炎の翼が生え、飛行能力も得ていた。




神「これが…朱雀の力…」




スカー・ブルート「闇刃の舞ナイトシザーズ!」




すかさず、魔王は追撃の魔法を放つ!先ほどの無数の黒い刃が再び神を襲ってくる。しかし、飛行能力を


得たことで機動力が段違いになって、黒い刃が神を追い切れていない。




神「これでもくらえ!豪炎弾!」




身を翻し、魔王に向かって神は巨大な火球を打ち放つ。


直撃した魔王は爆炎に飲まれてしまうが、それを片腕で薙ぎ払い、姿を変えた神に目を向けた。



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