源蔵の告白は、残された人々を震撼させた
「この村は・・・存在しないのです」
源蔵の声は冷徹だった
「正確には、十年前に廃村となった集落を、我々が拠点として利用しているのです」
健は混乱していた
「我々って・・・どういうことだ?」
「プロの暗殺集団です」
源蔵は事もなげに答えた
「我々の今回の標的は、橋本清議員でした」
橋本清の顔が青ざめた。「私を・・・暗殺するために?」
「ええ、あなたに恨みを持つ人々からの依頼です」
源蔵は冷笑した
「汚職、賄賂、政治資金の私的流用・・・あなたが今まで踏みにじってきた人々は数知れません、その被害者たちが、我々に多額の報酬を支払って依頼したのです」
源蔵は続けた
「しかし、悪徳政治家を普通に暗殺すれば、必ず大きな捜査が行われます・・・そこで我々は、この廃村を利用した完璧な計画を立てたのです」
「『祠』の呪いは・・・」美咲が震え声で尋ねた。
「もちろん作り話です。我々が作り上げた迷信に過ぎません」
源蔵は笑った
「しかし、あなた方は見事に騙されましたね」
健は理解し始めた
「じゃあ、化け物も・・・」
「我々の仲間です、特殊メイクと演技の専門家たちです」
源蔵が手を叩くと、化け物たちがマスクを外し始めた
その下から現れたのは、普通の人間の顔だった
「慎一郎さんの死も・・・」
雅子が涙ながらに尋ねた
「計画通りです、息子さんが祠を壊すことは、事前に計算していました・・・傲慢な性格の人間は、禁止されるとかえってやりたくなるものです」
源蔵は残酷な笑みを浮かべた
「慎一郎さんには、まず麻酔銃で眠ってもらいました・・・そして縄で首を絞めて殺害し、木に吊るしたのです、高い場所でしたが、我々には登山の専門家もいますから」
「佐藤家の事故も・・・」
健が呟いた
「事前に車に細工をしておきました、ブレーキオイルに細工をして、山道の特定の場所で必ず事故が起こるようにしたのです」
すべてが計画的だった
村人の死、化け物の出現、そして観光客たちの恐怖
すべてが悪徳な橋本議員とその家族を確実に殺害するための巧妙な罠だったのだ
「なぜ・・・なぜ俺たちまで」
山田が絶望的な声で尋ねた
「口封じです」
源蔵は冷酷に答えた
「あなた方には、この村での出来事を外部に話してもらっては困ります・・・ですから、全員に死んでいただくのです」
「でも・・・でも私たち、何も知らない」
由紀が泣きながら訴えた
「それでも危険です、それに、あなた方が生き残れば、『祠』の呪いという設定に矛盾が生じます」
源蔵は組織の他のメンバーに指示した
「では、始めましょう・・・まずは橋本夫妻から」
絶望的な状況だった
しかし、健は最後の抵抗を試みた