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看病

 俺もようやく童貞卒業した。しかし一歌は大変ご立腹の様子だった。


「げだ゙も゙の゙!゙ ゙猿゙!゙ ゙絶゙倫゙!゙」


 息を切らしながら罵倒している。しかし、気丈に振る舞っているが、とても辛そうだ。


 ひとまずシャワーを浴びさせようとしたが、彼女は立つことができなくなってるようで。仕方なくお姫様抱っこして風呂場へ入った。


 俺が一歌の身体を洗い、髪を洗い、湯船につかせ、風呂場から出た後も、ドライヤーで一歌の髪を乾かしていた。


 そのあと、俺の布団に寝かせた。


 無理をさせすぎてしまったようだ。彼女は『ヒューヒュー』と苦しそうに息をしながら布団で眠っている。


「出前きたよ。一歌起きれるか?」


「な゙ん゙どが……」


「汁、布団にこぼすなよ?」


「朝゙陽゙ぐん゙が゙食゙べ゙ざぜで、゙あ゙ー゙ん゙」


「あっ、はい」


 一歌が動けないため出前を注文した。地元で愛されているラーメンを俺が提案して一歌に採用されたものの、この状態の彼女に食べさせる食べ物じゃなかった気がする。


「ズルズルズル……美゙味゙じい゙」


 よかった、少しずつ一歌の顔から生気が戻ってきている。


「の゙ど゙飴゙を゙舐゙め゙ざぜで……」


「あっ、はい」



◇一歌視点



「ふぅぅ……」


「のど飴舐めるか? 水飲むか?」


「いや、もう大丈夫よ。声も戻ってきたし」


「よかった。掠れ声だったもんな」


「朝陽くん、食事したばかりだけど、もう少し眠りましょう」


「そうだな」


 一息ついて、一旦冷静になってみると、とんでもないことをしてしまった気がするわね。ほんの数十分前まで朝陽くんと……


 激しかったなぁ。あれほどとは。世の中のカップルはみんなそんなことをしているのだろうか?


 それとも朝陽くんが特別だったのか。それにしても、すごかったなぁ……


 感傷に浸っていると、朝陽くんが気まずそうにこんなことを言い始めた。


「あのさ、今回俺はちょっと、なんというかさ、暴走していたと思う」


 ちょっと? あれでちょっと?


「俺は気持ちよくて、夢中になって、後半になったら楽しくなっちゃって。そのせいで一歌をこんなにさせちゃって、無理させてごめん。でも一歌とできて嬉しかった」


「はぁ……そう言われると怒る気失せちゃうわ。長丁場はその、気持ちいいのがちょっとで大半は苦しかったんだから」


「ご、ごめんなさい!」


「次回は加減すること! このままじゃ私が潰れたカエルになっちゃうわ!」


「あっ、はい。気をつけます本当に(よかった、次回がある)」


「まあ、過ぎたことだし。私も朝陽くんに抱いてもらえて嬉しかったわ。だから、これからも末長くお付き合いお願いするわ」


「こちらこそ。君の墓に入る覚悟で俺はいるから、末長くよろしくお願いします」


『もうそれ、プロポーズよ』と思いながら、私は再び夢の世界へ旅立った。

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