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悪魔deレストラン~レストラン経営で世界を統治せよ!~
悪魔deレストラン~レストラン経営で世界を統治せよ!~
兎姫
異世界ファンタジー内政・領地経営
2025年05月27日
公開日
7.9万字
連載中
<レストラン経営で世界を統治せよ!> この世界エカルラートでは、人間と魔王様が率いる魔王軍との戦いが何百年に渡って繰り広げられていた。だがある日を境に魔王様は突如として人間との戦いを辞めてしまうのだった……。 それから数ヵ月後、ここに一人の男と一人の女がいた。 男はモブの中のモブ。ある意味でモブの王様という役柄を任命され、またそれと同時に冒険者としても未だ名前すら存在しない男である。女はこの物語のメインヒロインである『シズネ』と言う名を持ちながら元魔王という立場、つまりこの世界の元ラスボスであった。 だが元魔王様であるシズネは自分を倒す冒険者達と倒し倒されなど、幾重にも同じやり取りを繰り返すうち、武力で人間達を支配するのに飽きてしまっていた。そこで世界が再構築された際、ある事で冒険者達を支配することにした。そのある事とは一体…… 「いらっしゃませ~。お食事処『悪魔deレストラン』へようこそ」 そうシズネが考えたのは冒険者達が集う街に自分のレストランを開くことで、人間達を経済支配しようと目論んだのだった。しかも無謀にもレストランの最高峰ホシュランの三ツ星SSSランクを目指したのだ。 だが最大の敵で国よりも強い権力を持つ『ギルド』がそれを阻止しようと動き出してしまう。またギルド長であるマリーとその従者アヤメは今のギルド組織に疑問を持っており、シズネ達と協力してギルド勢力の権力を殺ぐことの約束を取り付ける。 この物語はモブの王様モブ男と元魔王様のシズネが面白可笑しくも、人間界を経済支配する物語である!

第0話 新たな世界の構築

「ふぅーっ。やはり今回も結局はダメになりましたか。やれやれ何度同じ世界・・・・を繰り返せばよいのでしょうかねぇ~」


 少女は溜め息をつきながら、今閉じられたばかりの世界にウンザリするような苦言を漏らしていた。そして目の前には様々な数字が次々と現れ、時間が巻き戻るような感覚に見舞われてしまう。


「これでよしっと。ほんと毎度毎度、良いところで邪魔が入ってしまいますね。これではいつ物語の終焉を迎えられるのか、気が遠くなってしまいますよ。……んっ? 待てよ……」


 少女はまるで独り言を誰かに聞かせるようにポツリポツリっと語りだしていく。だがそこである事に気付いたのだ。 


「今までワタシは人間達を上から武力によって押さえつけ、彼等を統治しようと考え実行してきたから最後には反発されてしまったのでしょうか? やはり表向きとはいえ、ネームバリューがありまくる『魔王』というのは忌み嫌われる存在なのでしょうね。名を知られるのはちょっと嬉しいのですが、あまり有名すぎるのもこれは考え物ですね」


 何かを考えるように顎に手を当てながら、わざと口に出すことで考えをまとめていく。


「いつも勇者だなんだと、生意気な連中が魔王であるこのワタシを倒そうと躍起やっきになりながら倒されても倒されても、何度も復活して舞い戻ってきますね。あれこそ、巷で噂のチート能力スキルと言うモノじゃないんですかね? ちょっと卑怯すぎますよ。ま、その分女神様だかに復活の対価として所持金の半分を許可なく強奪されてしまい、その分配利益としてワタシの懐も潤うのですから笑いが止まりませんがね。くくくっ」


 少女は不気味に笑みを浮かべると、中身の存在を確認するように左手に持っていた麻袋をジャラリと鳴らした。中には大量の金貨が入っていた。


「ふふふっ。ですが、こうしてある程度の資金を得ることができたのですから、そうそう文句も言えませんよね。さてっと、これから一体どうすれば良いのでしょうかね? 武力では反発されてしまうので、別の何かで支配することを考えねばなりませんね。ま、ワタシには時間だけはありますからね。気長に考えるとしますか」


 少女は暗闇が支配する空間で目を瞑ると、そのまま眠りつこうとした。

 ……そうつこうとした・・・・・・なのだ。だから決して寝ちゃいない。


 何故なら……ぐーっ。


「おや。これはこれは……」


 もうセリフで描写表現するのがめんどくさいのか、適当に……三点リーダーを用いることで説明を省こうとする少女。


 ぐーっぐーっ。

 だがしかし、まるでそれに「手抜きしてねぇで、描写しやがれよな!」っと反発するようにお腹の音は次第に強く鳴り響いてしまう。


「むむっ。やりますね。ですが、これは寝言に応用できるのではないでしょうかね? ぐーぐー」


 何に対抗心を燃やしているのか、少女はお腹が奏でる音を寝言だと言い張ろうとしている。

 ……いや、それ無理だから。


「んんっ!? そうです……これですよ! 人も悪魔も魔物モンスターも、お腹が空きます。ならば、この生理現象を利用して彼等を胃袋から統治する。そうすれば今までのような反発は起きないのではないでしょうかね? ふふっ。我ながらピンチをチャンスに変えるのが得意ですよね♪ ……ま、自分でもちょっと何言ってるか分かんねーですがね」


 そこで意味不明な言葉を口走りながら、少女は何かを思い立ったように右手に持っていた魔法の杖ワンドらしきものをグルグルっと回し始めた。するとその途端、暗闇の空間から綺麗な星くず達がキラキラと眩いばかりの光を放ちながら、新たな世界を再構築していった。


「ふふっ。今度の世界では上手くいくと良いのですが……ま、それも運次第でしょうね。ですが、奇跡が起こるとするならば……それは今までになかった何か別の重要な因子ファクターが現れることを願うばかりですね。さて、あまり独りでお話ばかりしていると変人と思われてしまいますので、そろそろ新たな物語を始めるといたしますか。んっ……」


 少女は誰に聞かせることもなく、そう呟くとその光の中へと身を投じてしまうのだった……。



 第1話へつづく


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