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第22話

「そ、それは……男として……ふ、普通にそういう行為をシていただけであって……特に何も……」


 あー、完全に俺は嘘を吐いてしまっているのだから、完全に聖修から視線を逸らしてしまっていた。


 ……って、俺が嘘吐いてるの、多分聖修にはバレバレなんだろうなぁ。


「そうでしたか……ま、男としては確かに普通な行為ですよね……」


 そう笑顔で言う聖修。でも何でその『普通』っていう部分を強調して言うんですか? と再びツッコミたくなる。


 ま、普通にだよな? 俺……?


 そう自問自答してしまう程だ。


「疲れて仕事から帰宅して、男として普通に一人でシてたってことですよね?」

「あ、はい……まぁ……」


 ……その話をいつまで引っ張るんじゃい! その行為の事を人に話をするってこと自体恥ずかしいことじゃん! ましてや、聖修は有名人であって、しかも初対面に近い状態で俺はただ単に聖修の一ファンであって。


「一人でスる時って、どうするんですか?」

「……って、あ……」


 そこで俺は自分で一人でヤってる時のことを思い出してしまっていたのか、思わず『あ』って言ってしまっていた。


 ……いやいや……そこは、『あ』じゃねぇだろ。


 普通にシていたって答えればいいんじゃねぇのか!? だって俺のそういう行為の時って他の人とは違うからなぁ。 そんなことだって、他の人に言えることじゃねぇし……。


「あ、だから、普通に……!?」


 俺は再びそう答えたものの結局、疑問形になってるし視線は反らしてるし、きっと嘘なんてことバレバレなんだろうな……。


「クスっ……分かりました……普通にですよね?」


 何故、そこで聖修さん笑うんですかぁ? 嘘だって分かってるんだったらもっと突っ込んできてくれたらいいのにー。とも思う。


 何でか、どっと疲れてきたような気がするのは気のせいだろうか。


「神楽さんって、タチですか? ネコですか?」


 その聖修からのいきなりの質問に、お茶やコーヒーなんかを飲んでいたらきっと噴き出してしまっていただろう。


 何故、聖修はそこまで俺のこと聞きたがるんであろうか。


「と、とりあえず、聖修さん? もしかして、俺に興味あるとか……?」


 俺はとりあえず聖修の質問ではないことを返してみる。 そう話を変える為にだ。


「んー、興味……ま、確かに一般人としての興味はそりゃありますよ。私は小さい頃から、そう言った事務所に入っていたので、一般人の生活って知りませんからね」


 ……あ、ま、そういうことだよな。


「なら、そんな深い話じゃなくて、普通の話でいいじゃないですかぁ?」

「ま、確かにそうですよね……。でも、人のそういうことって気になるんです!」


 そう真剣な瞳で訴えられても……そういうことって人に話すことじゃないしなぁ?

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