「それだけ、私のことが好きってことなのかな?」
「は、はーい!?」
なんで俺は、その聖修の言葉だけをまともに聞き取ってしまったんだろう。
いやいや、「好き」と言っても、“ラブ”と“ライク”は違う。
きっと俺が過剰に反応しすぎただけだ。
……と、ひとりで納得している俺。
冷静さを取り戻そうと、深呼吸する。
「聖修のこと好きじゃなかったら、ファンなんてやってないですよ……」
どうにか聖修の顔を見られるようになった俺だけど、多分、今の表情は引きつった苦笑いだと思う。
でも、聖修はそんな俺を気にする様子もなく、会話を続けてくれた。
「確かにそうだよね。でも、“好き”って、“ライク”と“ラブ”、二つの意味があるじゃない? 神楽さんは、どっちの意味で私のこと好きなのかなって思ってさ」
……うわぁー!! 直球で来たーー!!
心の中で、全力で叫ぶ俺。
心臓がバクバクしているのが、自分でもわかる。
……うんうん。
とりあえず、ひとりで納得しようとする俺。
……まぁ、さすがに……俺だって、聖修のことは“ラブ”じゃなくて“ライク”だよな? うん、たぶん……。
いや、でも違うのかもしれない。
よく考えたら、妄想の中で聖修を“オカズ”にしてる時点で……それって“ラブ”なのでは……?
だって、“ラブ”だからこそ、そうなってしまうんだろ? “ライク”だったら、普通、そんなことにはならないよな……。
でも、本人を目の前にして「ラブ」なんて言えるわけがない。
……よし!
と、自分に気合を入れて、半分は力強く、
「もちろん、ライクの方ですよ……」
とりあえず、半分苦笑い、半分笑顔で答える俺。
まぁ、それでオッケーってことにしておこう。
「ライクか……」
って、なぜか聖修が少し残念そうに呟く。
……え? あ? ん? なにそれ?
なんで聖修はそんな残念そうな顔をするんだ……?
そのあたりが、俺にはよく分からない。
「じゃあ、昨日は?」
「はい!?」
……昨日って、何のこと!?
完全に「???」状態の俺。しばらく考えていたけど、次に聖修が言ったことで、段々と思い出してきた。
「昨日、私と会ってから、一人で部屋でシてたんでしょ?」
……あーーっ! って、そのことかい!
まぁ、男ですから、そういうことはありますけど?
って、今はそういう問題じゃない……のか?
「あ、だから……それは……普通に一人で、してただけで……」
視線を逸らしながら言ってる時点で、嘘なんてバレバレなんだろうけど……。