「ぁ……」
誰にも聞かせたことがない声。恋人にだけ聞かせて上がられる声。好きな人にだけ聞かせて上げる甘い声。聖修だけに聞かせて上げる甘い声。そう思うと嬉しいのだけど、流石に初めて出てしまっている声に戸惑いと恥ずかしさが込み上がって来る。
そんな俺に聖修はクスリとしてるだけだ。
「尚……。こういうことをしてる時は恥ずかしがっていいと思う……。だって、実際、私だって、人に体を見せることなんて今迄したことがないから、本当に恥ずかしいことだけど、好きな尚の前ならきっと大丈夫だからね……。いや、今は尚とは恋人同士だから、この体は尚だけの物だろ?」
……あ、確かに……。本当に聖修って誰とも付き合ったことがないんだった。
って、改めて気付かされた瞬間だ。
「聖修の体は俺の物……」
そう確認するかのような驚いたような感じで聖修が言った言葉を繰り返す。
「うん……そうだよ。本当に俺は誰とも付き合ったこともないし、この体は誰にも見せたことはない。ライブの時だって、着替える時はみんなそれぞれの楽屋が用意されているから、メンバーにだって、見せたことだってないんだよ……」
「……へ? そうだったの!?」
そこまで聖修が体について徹底してるなんて思ってもみなかったことだ。
聖修はそう言うと着ていた服を脱ぎ始める。
すると細い割には筋肉が程よく付いた体が現れた。
俺と聖修の体っていうのは全然違う。
確かに俺は普通体型でもあるのだけど、その普通な体が邪魔をして筋肉なんて殆ど見えていないのと同じだったからだ。
きっと聖修と俺が体脂肪勝負したら俺の方が確実に体脂肪があるって証明されてしまいそうだ。
何気に俺は聖修の胸板辺りに触れてみる。
本当に見た目通りに筋肉が付いていた。そう軽く触れているだけだから、流石にそれ以上のことは分からないのだけど。
俺が聖修の体を触れてみた事に聖修はクスリとする。
「尚も私に興味あるって事だよね……」