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第42話 ※性描写あり

 俺は溜め息が出そうになる。


 よく考えてみれば、何も聖修のことが分からないまま既にこういう行為をしてしまっていたのだから。だけどもう後戻りなんか出来ない。聖修も俺ももうこういう行為を望んでしまっているのだから。特に俺なんかはムスコさんは完全に勃っている訳だし、寧ろこの状態で止められるのは厳しい。それに昔から男の性というのは止める事が出来ないと言われていて、まさしく今はそんな状態なのだから止められる訳がない。もし、こんな状態で止められてしまっても俺はそのまま一人でトイレに行って抜くことになるだろう。恋人も出来たばかりなのに一人で抜くっていう行為も虚しくはないだろうか。


 そもそも、どうしてこうなったのかさえ忘れてしまっている。


「だから、下って……?」


 なかなか答えない俺に痺れを切らしたのか、そう再び問ってくる聖修。


「あー……だから……」

「答えないのなら、このままでいい?」


 ……って、このままとは!? もしかして、イかせてくれないってことですか!? それって男にとって一番辛いことかと思いますけど……?


 暫く黙っていた俺なのだけど、もう諦めたのか一息吐くと、


「だからね……もう、俺のムスコさんが限界……な訳であって……」


 その言葉にクスリとする聖修。


 きっと俺にそれを言わせたかったのであろう。


「下のムスコさんがもう限界っていう事なの!?」


 ……それを言うな!! 本当に恥ずかしくて仕方がないから!


「ふーん……そうなんだ……」


 そう言いながら聖修は俺の短パンを腰の辺りから、ゆっくりと膝の辺りまで下ろしていく。


 ……ちょ! それを他人に下されるとっ! もっと、恥ずかしんですけどっ!


 抵抗したくても手首は縛られていて抵抗することが出来ない。


 ……そうか……そうだった。


 と改めて気付かされる。そう今日は手首を縛られているのだから。


 トランクスの上からは、きっとはっきりと俺のムスコさんが勃っているのが分かるだろう。


 それを他人に見せる行為さえも凄く恥ずかしい。


「いいねぇ、私が尚の体に触れたりして、こうなっているのだから、私的には嬉しいことだよ……で、どうするの? イきたいって言ってたけど……」


 ……へ? どういうこと!? 俺がここまでイきたいと訴えてきたのに、これ以上、俺に何をしろって言うのですか!?


 俺は聖修の言葉を含め少し考える。


 確かに聖修は一回もこういう事をしたことがないとは言っていたのだけど、俺が諦めて聖修に体を委ねた瞬間に聖修の口からはそんな言葉が出てきた。俺だって、こういうことに関して、そんなに知識を持ってる訳ではない。寧ろ妄想の中でも聖修に完全に体を委ねているのだから。


 妄想の中の聖修は本当に積極的というのか男らしいというのか、って、妄想と現実は違うんだもんな……。妄想というのはある意味、自分の中での理想像っていう訳だし……だから、現実と違うのは当たり前っていう事か……。


「せ、聖修に聞きたいんだけど……本当にこういうことに関して何も知識ない訳じゃないよね?」

「うーん……」


 ……って、そこ考えるとこなんかい!!


「……ないかな?」

「……へ?」


 ……え? だって、俺のこと縛ったりしてるじゃん! こういう事は知っていても他のことは知らないのかいっ!


「じゃ、何で、こういうことしてるの?」

「だって、君が私の事、本気じゃないっていうか、夢と思ってたから……現実と教える為にね……」


……あー……確かにそう言われてみればそうだった。

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