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第57話 ※性描写あり

 俺は聖修に騙された気分のまま、その玩具を中に入れたり出したりを繰り返す。


「ん……ぁあ! いい! やぁ……もっと!」


 いつもやっていることで、俺はいつものように声を上げてしまっていた。


 ……だって、それはしょうがないだろ? 俺はこれが気持ち良くてやってしまっているのだから……。


 そして聖修に見られているっていう羞恥心も煽られ余計に、今日こういうことをヤっているということが気持ちいいというのか、快感という渦に巻き込まれているような気がして仕方がない。本当に一人でシてる時よりも二人でヤってる方が気持ちいいと思った瞬間でもある。寧ろ聖修に見られてるという事もあったからなのか、余計に今日は気持ち良くなってるっていう事と、やっぱり自分が根っからのドMだからなのかもしれない。


 それに一人でシてる時というのは妄想の世界だし、要は自分の思ってるイメージの世界だし、人物っていうのは頭の中だから。だけど二人でヤってる時というのは、妄想とは違う人物像だ。しかし現実世界に人物はいるんだし、寧ろ、見られてしまっているのだから恥ずかしいという気持ちが込み上げて来るもんだ。そう妄想の中では自分でコントロール出来るけど、現実では自分ではコントロール出来ないという事だろう。


「ぁああああん!」


 ……やばっ! いつもの癖で自分がいいとこばっか突いて声も上げちゃった。流石に聖修もこんな俺を見たら引くよな。


 一人、肩の力を落としていた俺だったのだけど、どうやら聖修は違うようだ。


「へぇー、これって、こんな風に使うんだね……。それで、もっと何か機能とかあったりするの?」


 ……あ、いやぁ……寧ろ、俺の考えていたこととはどうやら違うようだ。 やっぱり妄想の世界と現実の世界では違うっていう所だろう。そう逆に聖修というのは興味を示してるようにしか思えない。だって、その玩具に関してどういう機能があるのか? っていうのを聞いてきてる位なのだから。


「……へ? これ?」


 俺は聖修が意外なことに興味を示したことで声を裏返す。


「うん……そうだけど……。もしかして、昨日の夜、この玩具使って、一人でシてたとか?」

「あー!」


 ……そうだ! 今日、知ったことだったのだけど、隣の部屋に少し大きな音を出すと聞こえてしまうんだった。声もだ。さっき聖修が一人でシてる時、俺の部屋に聖修の声が聞こえて来たのだから。


 って、ことを今の聖修の言葉で思い出してしまった。


 そりゃ、隣の物音が聞こえてしまう位なのだから、当然、昨日俺が一人でヤっていた声だって聞こえている筈だ。


 そのことについて俺は溜め息を漏らす。


「……で、どうなの?」


 そうまだ俺は聖修の問いに答えてなかった。


「あ、うん……」


 そう小さな声で答える俺。


 だってこんなこと声を大にしてなんて答えられる訳がない。


「クス……やっぱり、そうだったんだ……。じゃあ、尚はこれを使い慣れているってことだよね?」 

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