蒼鷹騎士団をアイドルユニットとしてプロデュースする計画が動き出した。だが、実際に活動を始めるとなると、道のりは険しかった。騎士たちは戦いに慣れてはいるものの、歌やダンスといった華やかな分野にはまったくの素人だったからだ。
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1. 騎士たちの初レッスン
最初のレッスンの日、訓練場には騎士団の全員が揃っていた。エミーが手配したダンスの講師が登場すると、騎士たちは戸惑いの表情を浮かべた。
「お嬢様、本当に私たちがこんなことをする必要があるのでしょうか?」
団長のレオンが苦笑いを浮かべながら尋ねた。
エミーは微笑みながら答えた。
「もちろんです。皆さんの持つカリスマ性と剣技の美しさを、もっと多くの人に伝えたいんです。最初は慣れなくても、やってみればきっと楽しくなるはずです。」
講師が最初に提案したのは、簡単なステップだった。だが、剣を振るうことには慣れている騎士たちも、リズムに合わせて足を動かすことには苦戦していた。
「左足、右足、そして回転――あっ!」
背の高い若い騎士が転びそうになり、周囲が笑い声を上げる。
最初は硬かった空気も、失敗を重ねるうちに和らいでいった。エミーはその様子を見守りながら思った。
「少しずつでも、前進しているわね。」
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2. 剣技とパフォーマンスの融合
蒼鷹騎士団の最大の魅力は、その剣技の美しさだった。エミーはこの要素をパフォーマンスに組み込むことを提案した。剣舞を取り入れたダンスパフォーマンスを考案し、騎士たちに演技の基礎を教えることにしたのだ。
講師が指導を始めると、騎士たちは再び戸惑いを見せた。だが、剣を手に取ると彼らの表情は一変した。長年の訓練で体に染みついた動きが、自然と表に出る。
エミーは感嘆の声を漏らした。
「素晴らしい…!その動きにリズムを加えれば、きっと素敵なパフォーマンスになるわ。」
剣技と音楽を組み合わせた演出は、徐々に形になりつつあった。騎士たちも次第に楽しさを感じ始めたのか、練習中に冗談を言い合う場面が増えていった。
「剣技の鍛錬も兼ねてるなら、一石二鳥だな!」
団員の一人が笑いながら言うと、他の団員たちもうなずき合った。