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第4話 :厳しいレッスン1. レッスン開始と戸惑い

蒼鷹騎士団とルージュロゼリアが初ステージに向けて活動を本格化する中、いよいよ歌唱とダンスのレッスンが本格的に始まった。だが、戦場で鍛えられた彼らにとって、この新しい挑戦は予想以上に困難なものだった。



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1. 初めての歌唱レッスン


初めての歌唱レッスンの日、訓練場には緊張した空気が漂っていた。蒼鷹騎士団とルージュロゼリアのメンバーたちは、それぞれの持ち場で普段の剣技訓練を終えた後、急いで歌唱練習のために集まった。


講師として招かれたのは、王都で歌唱指導をしているという著名な教師だった。彼は厳しい表情でメンバーたちを見渡し、低く響く声で言った。

「歌はただ声を出せばいいというものではありません。心を込めて、言葉の一つひとつに意味を持たせなければなりません。」


しかし、これまで歌を意識したことなどなかった騎士たちは、最初の音階練習でさえぎこちなかった。

「あー…あー…あれ?これでいいのか?」

団員の一人が音程を外し、周囲から小さな笑い声が漏れた。


ルージュロゼリアのリリアンも初めての挑戦に苦戦していた。彼女は剣技では誰にも負けない自信を持っていたが、歌となるとまったく別の話だった。

「音を取るのがこんなに難しいなんて…。」

リリアンは思わずため息をついた。


エミーはそんな彼女たちを励ますために、前へ一歩踏み出した。

「大丈夫、最初はみんな同じです。失敗を恐れずに練習を続けてください。私も一緒に頑張ります!」


その言葉に勇気づけられたメンバーたちは、少しずつだが声を出すことに慣れていった。



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2. ダンスへの挑戦


歌唱レッスンに続いて始まったのは、ダンスのレッスンだった。これもまた、騎士たちにとっては未知の領域だった。これまでの彼らの身体の動きは、すべて戦闘に最適化されたものだった。華麗さやリズム感を求められるダンスとは、まったく異なる種類の動きだった。


講師は軽快な音楽を流しながら、基本的なステップを教え始めた。

「まずは、リズムに合わせて足を動かしましょう。そして、体全体を使って表現を加えます。」


だが、騎士たちの多くはリズムを取ることさえままならなかった。

「えっと、右足から…次は左足?それともまた右足?」

背の高い団員が混乱しながら動きを止めると、隣の団員が苦笑いを浮かべた。

「お前、剣を振るときはあんなにキレがあるのに、何でダンスになるとこんなに不器用になるんだ?」


その言葉に、一瞬場が和んだ。エミーはその様子を見て、講師に提案した。

「騎士たちの得意な剣技の動きを取り入れる形でダンスをアレンジするのはどうでしょう?」


講師は頷き、剣を使った動きを交えた新しいダンスの振り付けを考案した。剣技の美しさを取り入れたことで、メンバーたちは次第に自信を取り戻していった。



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3. 戸惑いを乗り越えて


レッスンの最初の数日間は、どのメンバーも失敗が続き、自信をなくしかけていた。しかし、時間が経つにつれ、彼らは自分たちが少しずつ成長していることに気づき始めた。


ある日の練習中、蒼鷹騎士団の団長レオンが大きな声で仲間に呼びかけた。

「おい、みんな!見ろ、俺のステップがうまく決まったぞ!」


彼の言葉に周囲のメンバーたちが笑い、拍手を送った。その瞬間、緊張していた空気が一気に和らぎ、騎士たちは互いに声を掛け合いながら練習を続けた。


また、ルージュロゼリアのリーダーであるリリアンも、エミーの支えを受けながら少しずつ前向きになっていった。

「お嬢様、まだ不安はありますが、私たちが少しでも前進できている気がします。」

エミーは彼女の手を取り、力強く言った。

「その通りよ。すべての一歩が未来への道を作るの。自信を持って!」



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4. 希望と期待の中で


歌唱とダンスのレッスンが進むにつれ、メンバーたちは互いに助け合いながら成長を遂げていった。失敗することを恐れず、努力を続けるその姿は、エミーにとっても大きな励みだった。


エミーはふと、彼らが初めてレッスンを始めた頃を思い出し、小さく微笑んだ。

「最初はどうなるかと思ったけれど、みんな本当に成長したわ。」


彼女はその夜、執務室でノートにこう書き記した。

「この挑戦は確かに困難だけれど、彼らの成長を見ると、それだけの価値があると感じる。きっと、初ステージでは彼らが最高の輝きを放つに違いない。」


こうして、蒼鷹騎士団とルージュロゼリアのメンバーたちは、初ステージに向けて少しずつ確実に歩みを進めていった。





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