第七話「合法ドラッグ待合室」
無差別殺傷事件が起きた。場所は薬局。小さな薬局ではなくある程度広いところ。ええと、大学病院のような超大型ではないよ。駅チカパン屋が隣にあったりする。各フロアに内科、小児科、耳鼻科、歯科……とかが勢ぞろいしているビルの一階にある薬局。うん。これが正しい説明だ。
現場は狭く、混雑していて、病気などで体力が落ちている人ばかり。密室で、出入口もひとつ。考えてみれば条件があまりにも揃いすぎていた。街なかや駅、バスや地下鉄でテロを実行するよりも成功率が高く、警戒心も警備もないから思い通り。まさかそんなところで事件が起きるとは、誰も思っていなかっただろうけどね。
被害者にガキ共のグループ、ガールズがふたりいたとセイヤから連絡が来た。犯人は依然逃走中。警察も必死になって捜している。つまりこの街一番のオーガナイザー、俺様の出番というわけだ。
皆の期待を存分に背負い、ぶんぶんと街一番優秀な腕を回し、意気揚々と見慣れた街に出かけた。待ち受けていた悪意など想像もできずに。夜の東側に沈んでいくような感情と偏見に対峙する第七話。