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エピローグ

 それは“骨噛み”と言う風習なのだそうだ。


 死者の魂を受け継ぐ因習。故人への愛情の印である。


 その後わたしたちの通報で警察が動き、すず江さんの骨はすべて発掘され、村のお寺で丁重に供養された。


 その様子はカメラに収められ、番組としては大きな反響を呼んだ。


 その上おまけとして、田邊すず江はなんと田邊プロデューサーの遠い親戚にあたることが判明した。「虫が知らせたのかな」などと本人はとぼけたことを言っている。


 それからしばらくして佑樹とわたしは結婚することになった。


 会社の廊下で墨田すみれとすれ違った。すると彼女は目を大きく見開いてわたしを見つめたのだった。そして震える声で言った。


「あなた・・・・・・奈津子さんじゃないわね」


「え?」


 その時すでにわたしはわたしであって、わたしではなかった。


 本当のわたしは今も祠の下にいる。


           了



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