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僕のメチャクチャな『モテ期』困惑譚
僕のメチャクチャな『モテ期』困惑譚
熊さと
現実世界ラブコメ
2025年05月29日
公開日
7,904字
連載中
身なりのだらしない僕っ娘・さくらに、突然の『モテ期』がやってきた・・・・だがこの『モテ期』は尋常ではなかったのだ

第1話:突然の異変

「おい、今日も遅刻だぞ、バカ野郎!」


僕・・・いや、私の名前は寿ことぶきさくら


でも小さい頃から「僕」って言ってるし、今更変える気もない


男みたいな口調で話すのも、もう癖になってる


そんな僕が朝からガミガミ言われながら教室に滑り込んだのは、いつもの日常風景だった


髪はボサボサで寝癖がついたまま、制服のシャツは半分出てるし、靴下は片方だけ下がってる


リボンも曲がってるし、スカートもシワシワ


完璧に「ガサツ女子」の見本みたいな僕を見て


クラスメイトたちはいつものように苦笑いを浮かべていた


「寿、今日もすげー格好だな」


「うるせー、朝は忙しいんだよ」


隣の席の相原にからかわれながら、僕は自分の席にドサッと座った


でも、今日はなんだか周りの視線が違った


いつもは「また、さくらか」って感じの呆れた視線だったのに


今日は何か・・・熱い?


「さくらちゃん、今日もかっこいいね」


「え?」


突然横から声をかけられて振り返ると、クラスの文学少女タイプの美月さんが頬を赤らめて立っていた


美月さんは普段、本ばかり読んでる大人しい子で、僕とはほとんど話したことがない


「いや、かっこいいって何が?僕のこのボサボサ頭が?」


僕は自分の髪を手で撫でつけた


鏡も見ずに家を出たから、きっとアホ毛が立ってるはずだ


「そ、そういうワイルドなところが・・・素敵だと思うの」


美月さんはモジモジしながら僕の手に何かを押し付けて、顔を真っ赤にして走り去った


手に残ったのは可愛い水色の包装紙に包まれた手作りクッキーだった


リボンまでついてる


「は?」


僕は手に持ったクッキーを見つめた


包装紙には”さくら”の花の模様があしらわれていて、明らかに僕の名前を意識している


「おお、美月からプレゼントか、やるじゃないか、さくら」


相原が僕の肩を叩いた


「いや、これ何かの間違いだろ?美月さん、僕と話したことほとんどないし」


「でも確実にお前に渡してったぞ?」


そう言われてみれば、美月さんは確実に僕の名前を呼んでいた


でも何で?


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