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3、リルとご主人様達 ※

 褥の上で二人は裸で抱き合う。


 クロエはリルを撫ぜながら言って聞かせる。


「リル、俺と離れている時、辛い事、悲しい事、怖い事があったら、いつでも俺を呼んで?俺の名前を呼ぶんだよ?いい?」


「うん、わかった。くぅちゃんのこと、よぶね」


 リルは撫ぜられた頬をその掌に擦り寄せながらクロエを見つめ、答えた。


 クロエはそのリルの無防備な表情に我慢ならず、


 唇を重ねる。茜色の瞳が閉じられて、受け入れられた事を感じると、そのままリルの舌を犯す。


 小さく喘ぎ声が聞こえてくると更に興奮は高まった。


「ん…ぅん…あふぅ…、くぅちゃん…」


 リルはクロエの首に腕を回す。






 リルは本来、性交によって生気を吸う種族だが、何度か寝たが生気を吸われた事は一度もない。


 リルに聞いてみてもキョトンとするだけで、本人もよくわかっていない様だ。




 恐らくリルは生気を吸うという事自体をわかっていないし、その能力も無いのだろう。


 これでは強くなり様がない。


 リルの様な生気を吸う種族は相手の精を吸ってその能力を向上させる。




 イレギュラーで能力が目覚めでもしない限り、永遠に無能のままだ。




 本当ならクロエの様な強い悪魔から生気を吸えればあっという間に強くなるのだが、


 何度寝てもリルにはその兆候はなかった。




「リル…可愛い。大好きだよ」


「リルもくぅちゃんだいすきなの…ん…ふぁ…あ…」




 その癖、誘う能力は健在らしく、こうして性交の予兆を感じると何とも言えない良い香りのフェロモンを出す。


 これに抗える雄は少ないだろう。


 クロエはリルの首筋に吸い付く。そこからそのフェロモンの香りが強く薫る。


「ぅん……あっ…」


 その良い香りを堪能すると頭の芯が痺れる様な感覚に襲われる。


 自分がリルに肉体的に堕ちた証だ。


 こうなったら自分の精を叩きつけるまでは何も抗う事は出来ない。リルの虜だ。




 …




 今まで幾人かの男がリルを捕らえて、良い様に扱って来たらしいが、この瞬間だけは完全にリルが支配者だ。


 この誘惑に抗えず、誰もリルを殺さず、加護し、所有したのだろう。




 リルは言う。




「ごしゅじんさまはみんな、うたをうたうとおこるの…。はじめはきいてくれるのに…おこるようになって、うたうなってたたくの」




 リルは悲しそうにそう言うとクロエを上目遣いに見てもう一言小さな声で聞いた。




「くぅちゃんもおこる…?」


 クロエはリルを撫でながら言う。


「怒らないよ。リルの唄声は大好きだから好きなだけ唄うといいよ」


 リルの顔がパァッと明るく輝く。




 リルの歴代のご主人様とやら達は、リルの感応する唄に自身の心の奥底を見透かされ、聴いている事が苦痛になってリルを何度も殺そうと足掻くが、どうしても殺せなかったのだろう。


 クロエに言わせれば、泥沼に嵌る勢いでリルに依存した奴らの末路だとしか思えなかった。




 簡単な事だ。


 彼らは皆、単純にリルを本気で愛しただけだ。


 だけどそれを認められなかったのだろう。


 自分の様な強い悪魔がリルの様な無能の下級悪魔にも劣る、使い魔にもならない様な存在に心を奪われた事を認めたくなかった、それだけだ。




 自分が愛して、虜になっている事を認めさえすれば、こんなに楽な事はない。


 魔界のルールの中で培った常識が自分の精神の自由を脅かしてる良い例だとクロエは思う。




 …




「ん…あぁっ…!ん…ぅ…ああぁ!」


 リルの淫膣に指を2本ほど入れて、入り口付近の上部の膨らみを刺激してやると、


 リルは嬌声を上げてクロエにしがみつく。


「くぅちゃん…っ!あぁ…!そこ、へんになるのっ!ふぁっ…!」


 泣き濡れるリルの顔を見ながら、クロエはその膨らみを更に刺激する。


「ああ!くぅちゃん!…ふぁあ!はぁん!もう!そこ、いっちゃったよ!ダメだよぉ〜」


 リルが達した事に満足するが、更に奥のリルの感じる処に指を伸ばす。


「あ…ん…ああ…、はぁん…あ?あひっ!あ、そこ…っ!きもち、いいの…っ!」


「ここが好き?」


 気持ちいいと言った場所を刺激してやる。


「あん!うん、そこ、リル、ヘンになっちゃうのっ!あぁん!はぅんっ…!」


 子宮に近い場所に指が触るとリルは良い声を上げて腰をくねらせる。


 膣壁はキュンキュンと締まり、指に食いついて離してくれない。




「あ…、あっ!あっ!あぁあ!はぁあん!」




 ここも達した様で腰をビクッと仰け反らせた。


 指を止めるとリルは顔の前で握りしめていた手をパタリと褥の上に落とした。


 はぁはぁと息を弾ませ、惚けている。


「リル?入れるよ?」


「ん…」


 惚けた顔をクロエに向けて、茜色の瞳を潤ませながら小さく返事した。


 クロエはリルの脚を更に開かせて蜜壺と化したリルの淫膣に自身の欲棒を押し入れた。




「はぁっ!ふぅんっ!」


 入れた瞬間、リルは体を仰け反らせ、小刻みに震える。


「まだ入れたばっかりだよ?」


「…でもくぅちゃん…きもちいいの…」


 そんなふうに言われて興奮して更に奥に押しやる。


 更にリルは体を仰け反らせ粗く息をする。




「はぁ…はっ…はぁ…ん…あ…ん…」




 最奥まで達して、リルは苦悶に似た歓びの表情を浮かべていた。


 ゆっくり動いてやると嬌声を上げる。


 唄う様に可憐な声で歓びを表現するので、余計に興奮して更に腰の動きが早くなる。


 クロエのそれに合わせてリルも同じ様に腰を動かし畝らせる。


「あんっ!はぁん…!ひんっ!ひっ!はぁ!」


 互いの手を握り、速度を上げていく。


 どんどん上り詰めていき、快楽の予兆が体を支配する。


 二人は息を合わせ、同時に達する。


「ああっ!あぁん!」


 リルは甘い嬌声上げて自らが達した事を伝える。


 クロエは己の精をリルの子宮に叩きつける。


 ぐったりと抱き合い、快楽の余韻の中で、二人はねっとりと口づけを交わした。

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