※H・Nとシャルルによる、郷土史家のA大学W教授へのインタビュー。会話のやり取りと単純な背景説明を脚本形式で文章化。
様々な歴史資料に満たされた室内。 テーブルを挟んで対面する位置から、古文書を手にしてソファーに掛けるラフな服装のW教授を撮影している。
W教授「電話でお話しした、沼御前に関する最初の記述はおそらくこちらの『
H・N「あまついぬ?」
W教授「ええ、天つ狗とは〝つ〟を抜かせば漢字で〝
H・N「ああ」
W教授「天つ狗は昔で言う流星のことで、それを後に空を駆ける妖怪の天狗の字に当てはめたらしいですが。ようするに、沼沢沼に隕石が落ちたという記録でしょうね」
H・N「なるほど。つまり、それが沼御前だと?」
W教授「確証がありませんが。この文献(『東蝦夷奇憚』を撫でる)の件の逸話とそちらの出来事は、周辺情報を調べていくとどうも鎌倉時代初期の同時期、おそらく同じ日に起きたことのようなんですね。それで、わたくしはそう考えているということです」
シャルル「つまり、沼御前は空を飛んでどこかからやってきたということですか」
W教授「かもしれませんね。……では、とりあえずこちら(『東蝦夷奇憚』)を見ていきましょう」