夜の帳が静かに降り、揺れる天蓋のベッドが、深い夢の入口のように二人を包み込んでいく。
絹の衣が彼女の肌を滑り落ちるとき、空気がふと震えた。
その一瞬、彼の両腕が彼女を捕らえ、まるで逃れられぬ運命のように引き寄せた。
「ずっとお前と…こうしたかった」
ルークの瞳には、抑えきれない衝動と深い慈しみが交錯し、深淵のように彼女の心を飲み込んでいく。
「怖いなら……言え」
その声は、砂のように掠れていて、けれど心臓の奥に真っ直ぐ届く、低く熱い囁きだった。
小さく震えながら、セレフィーナは首を横に振った。
「……逃げない。あなたが……愛おしい……過去の罪も、私がすべて……受け入れるから」
その一言が、獣を目覚めさせた。
彼の動きが変わり、迷いを失った熱が彼女に降りかかる。
彼の唇が、肌にそっと触れると、その接触は静かに、けれど確実に、彼女の理性の輪郭を滲ませていった。
首筋から鎖骨、そして胸元へと降りていくその熱に、セレフィーナの吐息がかすかに漏れた。
彼の腕は強く、鼓動は荒く、湿った熱がふたりの境界を曖昧にしていく。
静寂のなか、衣擦れの音だけが響き、絹が一枚、また一枚と床に落ちていく。
ルークの口づけは執拗で、けれど一つひとつが祈りのように確かで、白い肌に紅の花を咲かせていった。
「セレフィーナ……俺のものに、なってくれ」
その声には、願いと支配が同居していた。
彼女は震える腕で彼の背にすがり、吐息を絡ませるように言った。
「……名前を、呼んで……」
「…セレフィーナ…」
「ルーク……っ」
その名は祈りのように唇を震わせ、彼の熱をさらに煽る。
舌が肌を這うたびに、セレフィーナの身体は弓のように反り、言葉にならぬ感覚が彼女を包む。
繊細な奥が、彼の舌の熱にゆるやかに脈打ち、意志を持つように彼を迎え入れようとする。
柔らかな脚が無意識に彼の首元に絡まり、求める心が形になる。
「我慢するな……すべて、俺に預けろ」
その低く唸るような声に、セレフィーナの五感は彼のものとなり、魂までもが預けられていく。
彼の腕が彼女の脚を抱えたとき、わずかな静寂が落ちた。次の瞬間、深く、熱く、彼は彼女の中へ沈んでいく。
「ルーク……っ、ルーク……!」
切羽詰まった声が名を呼ぶたび、彼の呼吸もまた高まり、さらに深く彼女の中へと溶けていく。
彼の指先が、内なる花の奥を探り、柔らかな膨らみに触れたとき、セレフィーナの身体が反応する。
「……ここ、か」
呟くように、確かめるように。
その指が巧みに舞い、秘められた場所を優しくも激しく暴いていく。
「…っあ!!あっ!!そこは…だめ!!」
恥じらいに染まった顔を両手で覆いながら、セレフィーナは震えた声で懇願する。
「……何がダメなんだ?」
その問いは、意地悪な笑みとともに降ってくる。
「…も…もう、何かがくるの……そこは……」
「いいんだ。全部、俺に見せてくれ」
彼の指が深く沈み、情熱が奥の奥まで届くと、彼女の身体がびくりと跳ねるように震えた。
「ダメっ……ああっ……もう……っ!」
声が限界を告げたその瞬間、彼女の身体が波のように打ち寄せ、すべてがあふれ出す。
熱が流れ、ルークの頬を濡らし、シーツを染める。
彼はそれを、誇らしげに、そして愛おしげに見つめた。
「……なんて、愛おしいんだ」
「……はぁ、はぁ……こんなの……初めて……」
頬を撫でる彼の指は優しく、流れ出た熱い雫を受け止めるように包み込む。
セレフィーナの胸は上下に揺れ、疲れと陶酔に瞳を潤ませていた。
「セレフィーナ……」
彼が名を呼ぶと、彼女は小さく首を振り、恥じらいを含んだ声で言った。
「……ルークの顔も……シーツも……こんなに濡らして……ごめんなさい……」
「ははっ。そんなこと、どうでもいいんだ」
笑みを浮かべながら、ルークは彼女の髪を愛おしそうに撫でた。
その余韻を、静かに味わうように。
セレフィーナは目を伏せ、彼の胸に頬を寄せた。
「……あなたが、すべて壊してくれるから……もう、怖くないの……」
静かに、けれど深く。彼女の言葉は、心の奥から零れる真実だった。
ルークの手が彼女を包み、温もりを惜しみなく与える。
セレフィーナは、ゆっくりと彼に手を回し、唇を重ねる。
甘く、切なく、ふたりだけの夜が深く沈んでいった――。
「そろそろ、入れるぞ…」
「ええ、来て。ルーク。あなたがしてくれたように、私もあなたを全て受け入れたいの…」
「…愛している。セレフィーナ…俺のものだ」
ルークの熱い意志が、彼女の柔らかな深みに完全に溶け合った瞬間、セレフィーナの心身が激しく震え、声にならない吐息が唇からこぼれた。
燃えるような感覚が、彼女の内奥を貫き、まるで二人の魂が一つに融け合うかのような陶酔に彼女は溺れる。
ルークの力強い存在が、彼女の秘めたる場所を強く、深く揺さぶるたび、セレフィーナの心が彼を求めて締め付き、汗と熱が交錯する。
肌が触れ合う響き、情熱が絡み合う音が、部屋を満たす唯一の真実となる。
ルークの情熱が、彼女の深みを執拗に愛し、快楽の波が二人をさらなる高みへと導く。
セレフィーナの心が、ルークの存在に呼応し、まるで彼を求めて脈打つ。
彼の動きが、彼女の内なる花に触れるたび、電流のような震えが二人を貫き、彼女の心が無意識に彼を包み込んだ。
「あっ、はぁ…ルーク…ルーク…っ!!」
「ーはぁ、はっ、セレフィーナ、もう…」
ルークの力が彼女のすべてを暴き、至福の頂点へと導く。
セレフィーナの心身が震え、声にならない喜びが唇からこぼれた瞬間、ルークの情熱が彼女の奥深くまで届き、二人の境界が完全に溶けた。
時間は、そこで止まったかのようだった。
激しい鼓動、互いの魂を呼び合う吐息、情熱が響き合う音だけが、二人を包む世界を織りなす。
ルークの腕が、彼女の心をさらに強く抱きしめ、まるで二度と離さないと誓うように動く。
セレフィーナの心が、彼の存在に絡みつき、熱と汗が溶け合う。
「ーはぁ…大丈夫か、セレフィーナ」
「はぁ…はぁ…大丈夫よ…」
セレフィーナの肌は、汗と熱で輝き、頬には涙とも喜びともつかぬ雫が光る。
ルークの指が、彼女の髪をそっと撫で、額に優しく口づけを落とした。
「お前は……俺の全てだ」
彼の声は、さっきまでの激しさとは裏腹に、震えるほどに優しかった。
セレフィーナは、かすかな微笑みを浮かべ、彼の頬にそっと触れる。
「あなたは……私を照らし、導く太陽みたいね……」
「セレフィーナ。お前に生かされてから…お前との再会を信じて、長い時を一人で生きてきた…。そして、今、俺の腕の中にいる事が…信じられない」
「全て、あなたが教えてくれた、現実よ…」
その言葉に、ルークの腕が彼女をさらに強く抱きしめ、まるで永遠を誓うように、彼女の名を囁き続けた。
ーー女神の手が、ようやく太陽に触れた。
そのぬくもりに抱かれて、心は静かにほどけてゆく。
愛に包まれた夜が、ふたりを優しく閉じた。