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第2話 あの子の評価金額

 僕は今、コンビニでアルバイトをしている。そこにお客として現れたのは、神山詩織だ。昨夜は楽しませてもらった。とても気持ちいい思いをした。


 詩織の肌はとてもすべすべしていた。だがだ。彼女はこう言った。

「あたしを抱いたんだから、新沼くんの彼女にしてよ」

 だが、僕にはそんな気持ちはない。そう伝えると、

「じゃあ、お金ちょうだい」

 僕は驚いた。詩織と寝たから金を請求されるとは。

「いくらだよ?」

「それは、新沼くんが決めてよ。くれた額はあたしの評価だから」

 なるほど、そういうことか。

「じゃあ、三万でどう?」

「うん、悪くない額ね」

「だろ?」

 僕は財布の中身を見た。一万しか入っていない。

「足りないからあとでATMで下ろすよ。仕事が終わったら連絡するから」

 すると詩織は、

「そのまま、ばっくれないでよ」

「そんなことしないよ」

 そう言い詩織はブラックの缶コーヒーを二缶買って、僕に真顔で手を振り出て行った。


 十八時にバイトを終え、ここの店にあるATMからお金を下ろし財布に入れた。車の中で、詩織にLINEを送った。LINEは昨日交換してもらった。

<今、仕事終わった。ここに来るか?>

 LINEはすぐきた。

<うん、行くわ>


 彼女の家にお金を払いに行っても良かったが、教えようとしない。無理矢理訊き出すわけにいかないし。


 十五分くらい僕は車の中で待っていた。すると、白い軽自動車がやって来た。運転手を見ると詩織だ。僕の隣に停車した。僕は車から降りて彼女の運転席に回り込んだ。すると、窓を開けてくれた。僕は、財布から三万取り出して詩織に渡した。

「新沼くんって、意外と真面目なのね。本当に払ってくれるとは思わなかった」

「意外? 失礼だな。僕はいつでも真面目だよ」

 詩織は鼻で笑い、

「そうかしら? 久しぶりに会った同級生と寝るなんて真面目とは思えないけど。付き合っているわけでもないのに」

 彼女は言いたい放題。高校生の頃とは別人だ。でも、図星。


 僕は詩織の車の開いた窓からお金を手渡した。そして詩織は言った。

「また、新沼くんとセックスした時は三万ね」

 僕は驚いた。何てがめつい女だ。自分だって気持ち良くなっているくせに。でも、彼女の体は最高だ。名器。三万の値はあると正直そう思った。 でも、僕の安いコンビニの給料では、そんなに頻繁に払えない。そう伝えると、

「いつでも良いわよ。あたしだって仕事してるから、新沼くんからのお金は副業みたいなものよ」

「そうか。因みにどんな仕事してるんだよ?」

「知りたい?」

「無理にとは言わない」

 もったいつけやがって。詩織はフフっと笑った。

「携帯電話のショップの受付にいる」

 それもまた意外な話しだ。そういう仕事も出来るんだ。

「そうなのか、じゃあ、スマホに詳しいんだな」

「まあね」

「今度、わからないことがあったら教えてくれ」

「いいわよ。一回千円ね」

「金取るのかよ!」

「もちろんよ! 世の中金が全てよ!」

 俺は呆れてしまった。確かにお金は大切だが、同級生なんだからただで見てくれるのが普通だろ、と思った。

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