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猫神様のペット可物件
猫神様のペット可物件
BIRD
異世界ファンタジースローライフ
2025年06月05日
公開日
9.8万字
連載中
離島暮らしの作者が書く、異世界離島暮らしの物語。 来栖聖夜(くるすせいや)はアパート暮らしのフリーアルバイター。 休日に街へ遊びに出た帰り道、公園に棄てられている猫を見つける。 聖夜が住むアパートはペット禁止なので、保護するわけにはいかず、見なかったことにして通り過ぎようとした。 「これ、そこの人間、無視するでない」 しかし立ち去る前に謎の声が聞こえてギクッとする聖夜。 キョロキョロしていると、更に声が聞こえてくる。 「うむ、聞こえておるな? そなたにしよう。そこの人間、この母子を拾え」 「えっ?! 無理。うちのアパートはペット禁止だよ」 姿を見せぬ何者かが言う。 慌てて断る聖夜。 「自宅がペット禁止だと? なら、ペット可物件をくれてやろう」 すると謎の声が言い、いきなり見知らぬ家の中に転移される聖夜と猫の母子。 そこで姿を現したのは、猫に似た姿の神様だった。 「どうじゃ? これでも飼えぬと申すか? 神としてそなたに命ずる。この母子を護り、食べ物を与えよ」 猫神様は聖夜に異世界の家屋を与える代わりに、猫の母子の保護を命じる。 聖夜は異世界に住居を持ち、現実世界の派遣先へ通うことになった。 猫を飼うための異世界転移。 聖夜と猫神様と猫たちのスローライフ系ファンタジーです。

はじめに~作者に猫神様がくれたもの~



 八重山諸島、石垣島。

 2025年4月3日夜21時頃。

 とあるTNR現場にて。


「ここも野良猫多いね」

「TNRしなきゃね~」

「この子、人馴れしてます」

「捕まるかな?」

「ケージで捕獲できるか試してみます」


 TNRボランティアYさんが、野良猫の捕獲を試みている。

 Yさんから時折送信されてくるのは、リアルタイムの現場画像。

 他のボランティアたちは、Yさんと猫の様子をLINE越しに見守っていた。

 石垣島は、野良猫がとても多い島。

 市街地でも郊外でも、頻繁に屋外で過ごす飼い主のいない猫たちを見かける。



「いけそう?」

「普通に入りますね」

「捕まえちゃって~」


 Yさんが捕獲しようとしているその猫は、全く警戒心が無かった。

 ケージに餌が置かれると、猫は迷わず中へ入り込む。

 すかさず扉を閉めるYさん。



「捕獲しました!」


 扉を結束バンドで封印した後、YさんはLINEで報告した。

 捕獲用の小型ケージごと猫を車に積み込み、Yさんが向かうのは預け先のガレージ。

 TNR活動は、餌やり、捕獲、搬送、預かりをボランティアたちが役割分担している。


「では、うちで預かります」


 預かりを担当する作者BIRDのもとへ、猫さんが届いたのは、日付が変わった4月4日AM1時頃のこと。


それから24時間が経過。


4月5日AM1時過ぎ、BIRD帰宅。 

猫の世話をするためガレージへ行くと、ケージの中から何かの声がする。


「みーみーみーみー」


 これは……

 この声は……

 あれだよな?!


 確信をもって、ケージに被せていたバスタオルをどけてみたら、想定内の状況に。


「産んだのか……」


 TNR用のSケージの中に、まだ羊水に濡れている小さいのが2匹。

 不幸中の幸いは、母猫がスリゴロだったこと。


「しょうがないな、ここで子育てしてくれ」


 出産途中の母猫を抱き上げてMケージに移しても、特に抵抗もせずにされるがままだった。

 続いて、仔猫もそっと掴んで母猫の側へ。

 ケージ底には新しいペットシーツを敷き詰め、外側には清潔な大判バスタオルを被せる。

 その後、更に2匹増えて合計4匹の仔猫が誕生した。



 猫神様降臨?!


『底辺作家BIRDよ、そなたにネタを授けてやろう。この母子を元ネタに、ファンタジーを書いてみるがよい』


 というお告げがあったとか、なかったとか。

 にゃんこファンタジー、実際に保護中の猫の母子を元ネタにしてお送りします!

 アルファポリス版では猫たちの画像を見ることができますので、よろしかったら是非そちらも御覧下さい。


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