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第37話

その夜、神谷慎一は私を抱いて眠りについた。

彼はまるで安心感を得られないかのように、腕で私の腰をぎゅっと抱きしめていた。

まるで私の体に絡みつく、しつこい蔦のようだった。

私は彼に絡まって、目を覚ましたり眠ったりした。

私はたくさんの夢を見た。

この夜、私は初めて、それらの乱れた夢の内容をはっきりと見た。

神谷慎一と二人で支え合って生きてきたあの年月を思い出した。

私たちは東京郊外の小さな孤児院で一緒に育った。

十二歳になった年、孤児院の院長が私に手を出そうとした。

神谷慎一は鋭い小さなナイフを、院長の太ももに深々と突き立てた。

彼は院長の片足を不自由にした。

そして私を連れて、あの暗い場所から逃げ出した。


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