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第39話

私が死んだ後の二年間、神谷慎一は完全に制御を失った。

彼は善悪の区別なく、あの火災に関わった全ての人々に復讐した。

そしてこの世界の表層のルールを打ち破り、

陰で全てを操る「システム」を引きずり出した。

そしてようやく気づいたのだ、私たちが「主人公」を中心に展開する台本の中で生きているだけだということを。

そして、私と彼が耐えた全ての苦しみ、経験した全ての愛憎、そして私の死さえもが――

あのいわゆる「主人公」たちのための背景設定に過ぎなかったのだと。

神谷慎一はこの世界の本質を見抜いた。

だからその後の十年、彼は完全にこの世界を掌握した。

彼は巨大な商業帝国を築き、この世界に絶え間なく「エネルギー」を供給した。

自分の手段で厳しくシステムを制御し、私の「復活」と引き換えにした。

一方で、システムは「悪役を攻略せよ」と選ばれた人々に対して、より慎重になった。

システムは「攻略者」たちに、あの男がどれほど危険かを何度も言い含めた。


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