翌朝――
私が倒れて以来、一度も顔を見せなかった両親が、ついに現れた。
立派なケーキを抱えて、病室を訪れた。二人とも涙ながらに、時川徹に過ちを認め、
「鳴の顔を立てて、鹿野家を許してくれ」と必死に懇願した。
「これからはちゃんとする、25年目の誕生日を盛大に祝う」とまで言った。
けれど――
時川徹は、目の前の三段の巨大なケーキを見て、冷ややかに笑った。
「鹿野鳴はマンゴーアレルギーなんだぞ。君たち、親なのにそれも知らないのか?」
父と母の顔が、一気に気まずさに染まった。
そして彼は冷たく命じた。
「出て行け。獄の中で更生でもしろ。」
「来世では、親になるな。子どもを不幸にするだけだ。」