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数日後――

姉は衝撃に耐えきれず、

隅田川に身を投げて自殺した。聞くところによると、

時川徹は、陰で引き上げの手続きをわざと遅らせたらしい。姉の身体がふやけきって、見るに耐えない姿になった頃、ようやく引き上げが許可されたという。


それから、生活は静けさを取り戻したかのようだった。

私の昏睡を妨げる者は、誰一人いなかった。

時川徹は、本社に一切顔を出さず、

毎日、私のそばにいた。けれど――

私は一向に目を覚まさなかった。彼はついに、崩れ落ちそうな声で医師に問うた。

「数値は全部正常じゃないか……なぜ、鳴は目を覚まさない?」

医師は、諦めたようにため息をついた。

「鹿野さんは――生きようとする気力が、あまりにも弱すぎるのです。」

「彼女自身が、目覚めることを望んでいないのです。」

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