ガラリ。
教室の扉を勢いよく開けて、六夢が笑顔で飛び込んできた。
「おっはよー!!
長刀、羽衣!
聞いて聞いて、
めっちゃ嬉しいことあってさあ!」
席にいた十斧長刀がふり返り、
「なんじゃい、朝っぱらから元気じゃの」と笑いながら返す。
隣の羽衣も、
机に頬を乗せながら
ぱちくりと目を丸くした。
「どしたのだなも?
もしかして……彼氏できたとか!?」
「ちがーーう!!
私がそんなんなる前に、世界終わってるわ!」
六夢は両手をバッと広げて、にかっと笑った。
「昨日ね、家に新しい妹が来たの!名前は夢羽!まだ8歳で、
ちっちゃくておとなし~い子!」
「へえ!妹っちゅうことは……?」
「養子!血は繋がってないけど、
そんなの関係ないって感じ!
私んち、みんなで迎えたの!」
長刀が「ほぉ~」と感心したように腕を組む。
「なんや、お前んとこ、
血のつながりがすべてかと思っとったが
……ちゃんと情があるんやなぁ」
「あるに決まってるじゃん!
かわいいんだよ~、夢羽。
ごはんのときとか、
ちょこんと座ってさ、
控えめにポテサラつついて……!」
「えっ、かわいっ!それは天使だなも!」
羽衣は両手をほっぺに当て、
夢羽の姿を想像してふにゃふにゃ笑う。
「うんうん!まだ人見知りでさ、
美夢姉さんのこと
チラって見ただけで目逸らしてたけど
……私の手はギュッて握ってくれたんだよ~!」
「なぁんじゃそれ
……お前、もう完全に姉バカじゃな」
長刀がニヤニヤ笑いながら突っ込むと、
六夢は胸を張って言った。
「当然でしょ!
妹とか弟とか、
家族は絶対守るって決めてるもん!」
その言葉に、
長刀と羽衣は自然と顔を見合わせ、
笑みをこぼした。
「……ええな、お前んとこ。
なんや、羨ましゅうなってきたわ」