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29「妹自慢」

ガラリ。

教室の扉を勢いよく開けて、六夢が笑顔で飛び込んできた。


「おっはよー!!

長刀、羽衣!

聞いて聞いて、

めっちゃ嬉しいことあってさあ!」


席にいた十斧長刀がふり返り、

「なんじゃい、朝っぱらから元気じゃの」と笑いながら返す。

隣の羽衣も、

机に頬を乗せながら

ぱちくりと目を丸くした。


「どしたのだなも?

もしかして……彼氏できたとか!?」


「ちがーーう!!

私がそんなんなる前に、世界終わってるわ!」


六夢は両手をバッと広げて、にかっと笑った。


「昨日ね、家に新しい妹が来たの!名前は夢羽!まだ8歳で、

ちっちゃくておとなし~い子!」


「へえ!妹っちゅうことは……?」


「養子!血は繋がってないけど、

そんなの関係ないって感じ!

私んち、みんなで迎えたの!」


長刀が「ほぉ~」と感心したように腕を組む。


「なんや、お前んとこ、

血のつながりがすべてかと思っとったが

……ちゃんと情があるんやなぁ」


「あるに決まってるじゃん!

かわいいんだよ~、夢羽。

ごはんのときとか、

ちょこんと座ってさ、

控えめにポテサラつついて……!」


「えっ、かわいっ!それは天使だなも!」


羽衣は両手をほっぺに当て、

夢羽の姿を想像してふにゃふにゃ笑う。


「うんうん!まだ人見知りでさ、

美夢姉さんのこと

チラって見ただけで目逸らしてたけど

……私の手はギュッて握ってくれたんだよ~!」


「なぁんじゃそれ

……お前、もう完全に姉バカじゃな」


長刀がニヤニヤ笑いながら突っ込むと、

六夢は胸を張って言った。


「当然でしょ!

妹とか弟とか、

家族は絶対守るって決めてるもん!」


その言葉に、

長刀と羽衣は自然と顔を見合わせ、

笑みをこぼした。


「……ええな、お前んとこ。

なんや、羨ましゅうなってきたわ」

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