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39「帰り道、夕焼けと約束」

日が傾き、街の景色が橙色に染まる。

楽しかった一日はもうすぐ終わろうとしていた。


「……ぐぅ……」

「うわ、寝とる……マジで寝とる……」


長刀の背中には、

遊び疲れてすやすやと眠る夢羽の姿。

ふわりと風に揺れる髪が、

夕陽の光をやさしく反射していた。


「重くない?」と心配する六夢に、

「このくらい、屁でもないわ」と

長刀が軽く笑って答える。


「……また、みんなで出かけたいね」

六夢がぽつりと言うと、

横で歩いていた羽衣がすぐにうなずいた。


「賛成だなもっ」


「次は、

……海とか、どう?」


六夢が提案すると、

長刀が笑いながら言った。


「おお、それええのう!

海!ワシ砂のお城作りまくるけぇな!」


「お城はいいけど、泳げるの?」


「たぶん、なんとかなるけぇ!」


くすくすと笑い合う三人の足音が、

夕暮れの道にぽつぽつと響く。

その真ん中で


――長刀の背にいる夢羽は、

穏やかな寝息を立てていた。


「……じゃあ、次は夏休みに決まりだね」

「うん、楽しみにしてるだなも」


夢羽が起きていたら、どんな顔をするだろう――

3人はふとそんなことを思いながら、眠る彼女をやさしく見守った。


オレンジ色の空の下で、影が長く伸びていく。

その影が、まるで本物の家族みたいに寄り添って揺れていた。

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