日が傾き、街の景色が橙色に染まる。
楽しかった一日はもうすぐ終わろうとしていた。
「……ぐぅ……」
「うわ、寝とる……マジで寝とる……」
長刀の背中には、
遊び疲れてすやすやと眠る夢羽の姿。
ふわりと風に揺れる髪が、
夕陽の光をやさしく反射していた。
「重くない?」と心配する六夢に、
「このくらい、屁でもないわ」と
長刀が軽く笑って答える。
「……また、みんなで出かけたいね」
六夢がぽつりと言うと、
横で歩いていた羽衣がすぐにうなずいた。
「賛成だなもっ」
「次は、
……海とか、どう?」
六夢が提案すると、
長刀が笑いながら言った。
「おお、それええのう!
海!ワシ砂のお城作りまくるけぇな!」
「お城はいいけど、泳げるの?」
「たぶん、なんとかなるけぇ!」
くすくすと笑い合う三人の足音が、
夕暮れの道にぽつぽつと響く。
その真ん中で
――長刀の背にいる夢羽は、
穏やかな寝息を立てていた。
「……じゃあ、次は夏休みに決まりだね」
「うん、楽しみにしてるだなも」
夢羽が起きていたら、どんな顔をするだろう――
3人はふとそんなことを思いながら、眠る彼女をやさしく見守った。
オレンジ色の空の下で、影が長く伸びていく。
その影が、まるで本物の家族みたいに寄り添って揺れていた。